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November 17, 2023

キヤノンメディカル、次世代フォトンカウンティングCT実現に向けたグローバルな臨床研究を加速

キヤノンメディカルシステムズ株式会社(代表取締役社長:瀧口 登志夫、本社:栃木県大田原市、以下、キヤノンメディカル)は、次世代の画像診断機器として期待されるフォトンカウンティングCT(以下PCCT)の実用化に向け、国内外におけるグローバルな臨床研究を加速します。
PCCTの臨床研究については、本年4月より国立研究開発法人国立がん研究センター先端医療開発センター(センター長:土井 俊彦、以下EPOC)および同センター東病院(病院長:大津 敦、所在地:千葉県柏市、以下東病院)と臨床研究法に基づくPCCTの特定臨床研究を開始し、様々なエビデンスの確立を推進しています(※1)。より幅広い臨床研究を推進、加速するため、国内においては広島大学(学長:越智 光夫、所在地:広島県東広島市)と、さらに、オランダにおいてはラドバウド大学メディカルセンター(Radboud University Medical Center、Chair, Dr. Bertine Lahuis、所在地:オランダ ナイメーヘン)と、それぞれPCCTを活用した共同臨床研究に関する基本合意書を締結。2024年初旬より臨床評価を開始し、早期の実用化を目指します。

グローバル臨床研究の加速を目指し、本年11月1日に広島大学と、11月14日にラドバウド大学メディカルセンターと、PCCTの実用化に向けた共同研究を開始することに合意しました。広島大学においては、広島大学大学院医系科学研究科放射線診断学研究室の粟井 和夫教授が中心となり、画像診断におけるPCCTの有用性について臨床評価を行う予定です。ラドバウド大学メディカルセンターにおいては、放射線科のChairmanであるマティス プロコップ教授(Prof. Mathias Prokop)が中心となり、同じくPCCTの有用性について臨床評価を行う予定です。今後、キヤノンメディカルは世界の様々な医療施設と革新的な次世代PCCTの実用化に向けた共同研究を精力的に進め、開発を加速してまいります。

PCCTは従来のX線CTに比べ、複数のエネルギー収集を可能とする次世代型検出器(フォトンカウンティング検出器)を搭載した画像診断装置です。従来装置に比べ、複数の物質構成を特定することができ、定量性に優れた画像を提供し診断精度の向上が期待されています。また、高分解能化により臓器の病変部検出能が向上し、従来装置を超える被ばく線量低減も見込まれています。これらの可能性から大幅な臨床価値向上を秘めた次世代装置として、世界中の研究機関から、臨床現場への導入が期待されています。

キヤノンメディカルは画像診断システム日本国内シェアNo.1(※2)の実績を誇り、320列エリアディテクターCT(販売名:CTスキャナ Aquilion ONE TSX-306A)や高精細CT(販売名:CTスキャナAquilion Precision TSX-304A)等、革新的なCT技術を世界に先駆けて開発してきました。さらに、キヤノングループの持つ多彩なイメージングやモノづくりの技術を融合し、PCCTの実用化研究を進めています。

広島大学大学院医系科学研究科放射線診断学研究室 粟井 和夫教授は、「PCCTには空間分解能やCT値の定量性、軟部組織のコントラスト等を従来EID-CT(Energy Integrating Detector-CT)よりも向上させる可能性があります。また、PCCTでは、X線被ばくについても従来CTよりもかなり減らせることができると考えております。キヤノンメディカルにはこれまで一緒に研究開発をしてきた逐次近似やディープラーニング再構成などの高品質な画像再構成技術もあり、これらを踏襲した次世代PCCTシステムが開発されることを大変期待しています。我々としてもPCCTのポテンシャルおよび臨床現場における有用性をしっかり評価して参ります。」と述べています。

ラドバウド大学メディカルセンター、放射線科、マティス プロコップ教授は、「フォトンカウンティングは、これまでのCTの概念を覆す可能性を秘めています。この技術により、CTの画質をより優れたコントラスト、より高い解像度、より低線量に最適化することができます。しかし真の可能性は、形態学的診断ツールからより機能的な診断を可能にするツールへと、CTの限界を押し広げることにあると私は信じています。これにより、特に心疾患や腫瘍性疾患の患者さんに対して、より迅速で正確な診断とより良い予後予測を提供することができます。これを可能にする鍵となるのは、キヤノンメディカルのエンジニアリング技術と、画像の再構築と評価におけるリーダーシップだと考えます。私たちは、この先進技術に関する開発と研究のために、キヤノンメディカルと提携できることを誇りに思っています。」と述べています。

キヤノンメディカル代表取締役社長の瀧口 登志夫は、「EPOCおよび東病院、広島大学およびラドバウド大学メディカルセンターという国内外の著名な施設と連携できることを大変喜ばしく思います。先生方が実際に使用された際のご意見や評価などを直接お聞きすることができ、それを開発にフィードバックすることでPCCT開発の飛躍的な加速につながります。これまでにキヤノンが培ってきた技術を結集したPCCTを全世界に供給することでCTグローバルシェアNo.1を実現し、画像診断技術のさらなる発展に寄与してまいります。」と述べています。

※1 https://jp.medical.canon/News/PressRelease/Detail/131536-834
※2 CT、MRI、超音波、X線、核医学の5イメージングにおける当社調べ

詳細:https://jp.medical.canon/products/computed-tomography/pcct

【広島大学について】
広島大学は広島師範学校の前身白島学校(1847年設立)をはじめ多くの前身校を持ち、原爆の惨禍から復興した1949年に新制大学としてスタート。現在は東広島市の本部をはじめ、広島市内の2キャンパスを合わせ12学部5大学院の学生約1万5千人が学んでいます。スーパーグローバル大学のトップ型13校に選ばれるなど、海外の大学と連携しながら最先端の研究を進めています。
https://www.hiroshima-u.ac.jp/

広島大学病院(広島市南区)は国内で有数の高度医療技術を持つ医療機関として、医科・歯科合わせて47診療科を設置。中四国唯一の小児がん拠点病院をはじめ、災害や新型コロナウイルス感染症への対応など行政や他の医療機関と連携して地域医療に取り組んでいます。敷地内には医学系学部・大学院なども立地する特徴を生かし、診療、研究、教育が一体となって医療の発展に寄与しています。
https://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp

【ラドバウド大学メディカルセンターについて】
ラドバウド大学メディカルセンターは、患者さんの診療や研究および教育を行う大学病院で、オランダのナイメーヘンにあります。同メディカルセンターでは、未来の健康やヘルスケアを形作る最先端の取り組みが進められています。この取り組みは、病院が掲げる「健康と医療に大きな貢献を」という使命に反映されています。この実現には、ネットワーク内でのコラボレーションや個人への焦点を通じた革新と再活性化の取り組みが求められます。これらには予防、意義ある着実なヘルスケア、持続可能性、人工知能およびデータ主導型のシステム、疾病の分子メカニズムと新しい治療、明日の医療従事者の育成などの取り組みが含まれます。
放射線科はヨーロッパ随一の研究グループを主導し、150名を超える研究者とともにケアの提供を継続すると同時に、ケアの向上に向けた革新的な研究に取り組んでいます。
https://www.radboudumc.nl/patientenzorg