A NEW ERA IN COMPUTED TOMOGRAPHY

コンピューター断層撮影装置 (CT) の進化は、画像診断学の進歩へと繋がり、その役割は更に大きなものへと成長しています。当社は、エリアディテクターCT、高精細CT、ディープラーニング再構成技術など、CT の能力を飛躍させる多くの革新的技術を開発、製品化してきました。

また、半導体検出器モジュールの設計と製造のグローバルリーダーであるレドレン・テクノロジーズ社(Redlen Technologies Inc., 本社:カナダブリティッシュコロンビア州、以下「レドレン社」)と提携し、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)を用いた新たなフォトンカウンティング CT (PCCT) の開発を進めています。

CTの製品化を通して得てきた様々な技術(受光面積に合わせたX線管球設計、架台や寝台の振動抑制機構、大容量データ管理と伝送システム、ディープラーニング再構成技術等)と、X線阻止能や安定性の観点で優れた素質を持つCZT検出器とのシナジー効果により、Canonならではの次世代PCCTを目指します。

WHAT IS PHOTON COUNTING CT?

従来CTのエネルギー積分型検出器(EID)は、入射したX線光子をシンチレータで光信号に変換し、その後、フォトダイオードにて電気信号に変換します。この過程で1 つのシンチレータで発生した光が隣接する検出器に散乱する現象(クロストーク)が空間分解能の低下を招きます。そのためEIDではクロストークを防ぐため、シンチレータの間に反射板(隔壁)を設けます。この隔壁はX線検出における不感領域となるため、極力薄く加工し設置する高度な加工技術と組立技術が必須となります。これに対しPCCT は直接変換方式により隔壁が不要となり、X線検出の有効面積を最大限確保することができます。 結果、従来よりも高効率なシグナルの検出が可能となります。
PCCTでは、半導体検出器を用いて、入射したX線光子を電気信号に直接変換します。電気信号はASIC(特定用途向け集積回路)によって読み取られ、各X線光子のエネルギーを個別にカウントします。カウントされたX線光子は測定されたエネルギーに基づいて、複数のエネルギービン(bin)に分類することができ、透過した対象物のX線エネルギー特性を収集することができます。
また、画像再構成に使用するbinを任意に設定することで、電気系ノイズを除去することも可能です。

THE ADVANTAGE OF REDLEN, A CANON GROUP COMPANY

レドレン社は過去20年に渡り高度なCZT製造技術を築き上げた、フォトンカウンティング検出器における世界的な大手サプライヤーです。ここで製造されたCZT検出器は、医療分野のみならず、非破壊検査や航空産業など既に幅広い分野で使用されています。

レドレン社の高精度な CZT 検出器は、X線検出の効率化と、独自のコンパクトな検出器回路を備えています。また、ピクセルサイズの最適化により、パイルアップやチャージシェアリング(半導体検出器における技術的課題)などを効果的に低減しつつ、低ノイズと高解像度の画像生成に繋げます。
レドレン社では、CZT素材の管理からセンサーの製造と設計、モジュールの組み立てとテストまで、すべてを1つの製造工程で行うことで高品質で安定的な生産を実現しています。また100基以上のCZT製造炉があり、高い製造能力も有しています。

キヤノンの高度なCT製造能力と、レドレン社の強力なCZT検出器製造能力を組み合わせることで、PCCTの安定生産を実現します。

免責事項
Note:フォトンカウンティングCTは目下研究開発が進められている評価中の技術です。これらの技術は製品ではなく販売していません。