News | Press Releases


August 31, 2021

フォトンカウンティングCT 日本初の実用化に向けて、国立がん研究センターと共同研究を開始

キヤノンメディカルシステムズ株式会社(代表取締役社長︓瀧口登志夫、栃木県大田原市)は、国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長︓中釜斉、東京都中央区、以下国立がん研究センター)と、2020年7月に締結した包括協定(*1)および同年11月に締結した共同研究基本契約に基づき、国立がん研究センター先端医療開発センター(センター長︓落合 淳志、千葉県柏市)および同センター東病院(病院長︓大津 敦、千葉県柏市)と、次世代の画像診断機器として期待されているPhoton Counting Computed Tomography(フォトンカウンティングCT、以下PCCT)の日本で初めての実用化に向けた共同研究を開始しました。

PCCTは、従来のX線CTに比べ、複数のエネルギー収集を可能とする次世代型検出器(Photon Counting検出器)を搭載した画像診断装置です。従来装置に比べ、複数の物質構成を特定することができ、定量性に優れた画像を提供し診断精度の向上が期待されています。また、高分解能化により臓器の病変部検出能が向上し、従来装置を超える被ばく線量低減も見込まれています。これらの可能性から大幅な臨床価値向上を秘めた次世代装置として、世界中の研究機関から臨床現場への導入が期待されています。
当社と国立がん研究センターは、これまで世界に先駆けて高精細X線CTを共同で開発/製品化し、医療に貢献してきました。今回、この最先端装置の実用化研究を通じて、体内にある抗がん剤の定量精度向上及び治療効果判定への活用や、腫瘍組織の悪性度評価、組織性状の違いの検出等、薬剤や病理データとの比較も行いながら、幅広い領域における新たな臨床価値の探求を目指します。

当社は画像診断システム国内シェアNo.1(*2)の実績を誇り、320列エリアディテクターCT(販売名︓CTスキャナ Aquilion ONE TSX-306A)や高精細CT(販売名︓CTスキャナ Aquilion Precision TSX-304A)など、高度なCT技術を世界に先駆け開発してきました。PCCTの研究開発においては、これまで培ってきた大容量データや高分解能データの収集、転送、解析技術を結集し、グローバルR&D体制で研究を推進しています。さらに、キヤノングループの持つ多彩なイメージングやものづくりの技術を融合し、次世代装置の実用化研究を加速してまいります。
当社は国立がん研究センター先端医療開発センターおよび同センター東病院とのPCCT共同研究により、日本発の革新的なシステムを創出し、現代医療の進歩に貢献していきます。

【PCCTについて】
従来のX線CTに搭載されている検出器は、X線を光信号に変換するシンチレータと、光を電気信号に変換するフォトダイオードを連結した構成となっており、検出された信号は Data Acquisition System (DAS) にて一定時間分を積算し出力されます。一方、PCCTでは、検出器に入射するX線を直接電気信号へ変換し、かつX線フォトンをエネルギー毎に分けた収集を行います。これにより、透過物質に対しエネルギー情報を用いた複数種の物質弁別が可能となります。また、さらなる高分解能化や被ばく低減の可能性も見込めます。

Aquilion、Aquilion Precision、Aquilion ONEはキヤノンメディカルシステムズ(株)の商標です。

*1︓https://jp.medical.canon/News/PressRelease/Detail/61759-834
*2︓CT、MRI、超音波、X線、核医学の5イメージングにおける当社調べ。