July 15, 2020
キヤノンメディカルシステムズ株式会社(本社︓栃木県大田原市 代表取締役社長︓瀧口 登志夫 以下、キヤノンメディカル)は、藤田医科大学(愛知県豊明市 学長︓才藤 栄一)の放射線医学講座 大野 良治 臨床教授と産学共同研究で開発したびまん性肺疾患のCT画像解析技術を用いて、新型コロナウイルス肺炎の診断支援に関し臨床への適用評価を開始します。
新型コロナウイルス肺炎のCT画像の所見は、間質性肺炎の特徴を示すことがこれまで多く報告されています。特にすりガラス影、浸潤影などの高濃度陰影の存在、形状および発生位置などの情報が新型コロナウイルスの診断に有用であると考えられています。新型コロナウイルスによって発生する肺炎の特徴を定量的に捉えることで、診断および治療効果、予後に寄与する情報を得られるとともに、新型コロナウイルス肺炎以外の他の肺疾患の診断をサポートする情報も得られることが期待できます。
クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス号」の感染症患者を始め、多くの新型コロナウイルス感染症患者の治療実績のある藤田医科大学と適用評価を開始することで、最前線の現場における効率的なソリューションの実現を目指します。
今回の適用評価で用いるびまん性肺疾患を中心としたCTテクスチャー解析は、藤田医科大学 大野良治教授とキヤノンメディカルが産学共同研究で開発した技術です。本解析技術は、CT画像を用い、様々な肺疾患の結果生じる肺の陰影・形状情報から、正常肺、すりガラス影、浸潤影、蜂巣肺、粒状影や気腫性病変など、肺の7種類の形態的特徴を、機械学習によって識別し定量化するものであり、基礎的な研究成果はすでに各種学会で報告され、間質性肺炎の重症度と解析による定量的な結果に相関があること発表実績1) 2)、放射線科医と解析による所見の一致度が十分であること発表実績3) 4)が示されています。2020年7月末から本解析技術を用いて新型コロナウイルス肺炎疑いの症例を解析し、臨床への適用評価を進めていきます。
本解析技術は低被ばくかつ高画質を両立したキヤノンメディカルのX線CT装置と組み合わせることで、患者負担をより軽減しながら安定した解析結果が得られるとともに、CT撮影から画像解析までの一連における最適なワークフローを実現できます。今回の藤田医科大学との適用評価を進めるとともに、国内外の医療施設でも適用評価を開始し、より迅速で正確な診断へのサポートを推進していきます。
藤田医科大学 大野 良治教授は、臨床への適用評価への期待を以下のようにコメントしています。
「新型コロナウイルス肺炎を含めた肺疾患におけるCT読影の問題点として、読影者間の一致率が低いことが指摘されており,それに伴って患者マネージメントを含めた医療提供などに差が生じる可能性があることが危惧されています。そのため,AI などを用いた診断支援システムの開発と臨床応用が世界的に期待されています。
各種肺疾患を対象にしたCT テクスチャー解析技術を用いることにより,
[発表実績]
1) 3D Computer-Aided Diagnosis System for Thin-Section CT: Utility for Pulmonary Functional Loss and Treatment Response Assessments in Connective Tissue Disease Patients, 2016 年 北米放射線学会(RSNA)
2) Utility of 3D computer-aided diagnosis system for pulmonary functional loss and treatment response assessments in connective tissue disease patients, 2017 年 欧州放射線学会(ECR)
3) 3D Computer-Aided Diagnosis System on Thin-Section CT: Quantitative Assessment of Disease Severity and Therapeutic Response in Patients with Polymyositis/ Dermatomyositis, 2018 年 日本放射線学会 (JRC)
4) 3D Computer-Aided CT Texture Analysis with Machine Learning: Capability to Play as Second Reader for Radiological Finding Assessment in Patients with Interstitial Lung Disease, 2019 年 欧州放射線学会 (ECR)