June 1, 2001
株式会社東芝、医用機器システム開発センター 放射線技術主幹 森一生(53)は「ヘリカルスキャンX線CT装置の開発」の功績により、平成13年春の褒章で「紫綬褒章」を受章しました。 「紫綬褒章」は、学術、芸術上の発明、発見、創作に関して著しい業績を挙げた人に授与される国家褒章で、(株)東芝からは3年連続で受章者を輩出することとなりました。医用機器関連の受章は、昭和48年の岩井喜典(元(株)東芝 常務、東芝メディカル(株)会長)、平成9年の飯沼一浩(元(株)東芝 医用システム社 首席技監)に引き続き3人目の受章です。
森は昭和46年に東京芝浦電気(株)に入社以来、X線CT装置を中心に医用機器システムの研究開発に従事し、CT技術部主査、医用機器技術研究所MRI担当主幹、医用機器・システム開発センター放射線技術主幹を歴任し医用機器の発展に貢献してきました。
褒章対象となったのは「ヘリカルスキャンX線CT装置の開発」です。ヘリカルスキャンX線CT装置は今では世界中のほとんどのX線CTに採用されており、早期癌診断など従来発見が難しかった領域での異常の発見に貢献しています。
ヘリカルスキャンは、高速連続回転によるスキャンをしながら同時に被検者を載せた寝台を定速移動させ、短時間のうちに多数の断面のスキャンを完了する方式です。この実現には、まず高速連続回転が可能なCT装置が必要ですが、森はチームメンバーとともにこれを実現しました(1985年、TCT-900S)。次の問題として、スキャン中に被写体を動かすことは投影データから断面像を正しく計算する理論が破綻するために禁忌でしたが、森は、こうした状況でもゆがみを回避し、正しい画像が得られるデータ処理技術を考案しました。これらの大きな技術上のブレークスルーにより、ヘリカルスキャンが現実のものとなりました。
当社は、ヘリカルCTに続きマルチスライスCT技術、3次元動画CT(4D-CT)など世界をリードする技術を次々に開発しX線CT技術の発展に貢献してゆきます。
平成 5年11月25日 | (財)機械振興協会 機械振興協会賞 通産大臣賞
「ヘリカルスキャンX線CT装置の開発」 |
平成10年 4月28日 | (財)新技術開発財団 市村産業賞 功績賞
「ヘリカルスキャンX線CT装置の開発」 |
平成11年 6月18日 | (社)発明協会 全国発明表彰 科学技術庁長官発明賞
「ヘリカルスキャンX線CT装置の発明」 |
平成12年 4月18日 | 科学技術庁 科学技術功労者表彰
「ヘリカルスキャンX線CT装置の開発」 |
昭和46年 3月 | 東北大学通信工学科 卒業 |
昭和46年 4月 | 東京芝浦電気株式会社(現(株)東芝) 入社 |
昭和63年 4月 | (株)東芝 CT 技術部 主査 |
平成 8年 4月 | (株)東芝 医用機器技術研究所 MRI 担当 主幹 |
平成10年 4月 | (株)東芝 医用機器システム開発センター 放射線技術主幹 |
以上