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October 16, 1998

X線CT装置「Asteion(アステオン)」シリーズの販売について ― 0.75秒高速スキャンで操作性に優れた高速ヘリカルスキャンCT ―

 (株)東芝は、1回転あたり0.75秒でスキャンできるヘリカルスキャン方式(*1)の全身用X線CT装置の高級機種として操作性を向上させた「Asteion(アステオン)/VR」他1機種を商品化し、10月より販売を開始します。販売は東芝メディカル株式会社が行います。

 今回販売を開始する2機種は、0.75秒高速スキャン、固体検出器・熱効率の良いX線管球搭載、と高級機として求められる基本仕様をすべて満たした上、当社独自の「リアルテクノロジー」を搭載した、当社の「Xvigor」シリーズの後継機種です。国内市場と同時に海外市場へも投入し、「Asteion」シリーズで年間900台の販売を予定しています。

 新製品は、胸部検査をする際、0.75秒の高速スキャンにより、1回の息止め(30cm領域を20秒強、スクリーニング目的なら10秒強)で撮影を終了することができます。このため、患者の負担を大きく軽減することができます。さらに、連続撮影に最適な熱効率の良いヘリカル用X線管球を搭載しているので、待ち時間を不要とし、多くの患者をすばやく検査することができます。さらに、患者への被曝も重要な開発要素として捉え患者被曝の原因となる低エネルギーX線を大幅にカットするX線フィルターを新規開発し搭載してます。

 加えて、画像を動画としてリアルタイムに表示することができる当社独自の「リアルテクノロジー」(CT透視(*2))を搭載しているので、外科手術を行わずに針やカテーテルによる検査や治療を行うことができます。

 コンソールには、最高級機「Aquilion」と同じく、新規開発のグラフィック・ユーザ・インターフェースを搭載、パソコン感覚で簡単に操作が行なえます。また、標準コンソール上でのカラー3次元処理が可能となるので、画像収集後、即座に同一コンソールで3次元画像での診断がおこなえます。さらに、ディスク容量は従来の4倍の容量を持つ業界最大の12GBを標準で装備し、モニターには見易い大型21インチカラーモニターを採用しています。

開発の背景と狙い

 現在、国内、海外合わせて年間約4,000台のCTが販売されていますが、スキャンスピード別の内訳では、1秒を切る最高級機は1割にも満たない状況です。患者の拘束時間の低減や、長時間の呼吸停止が困難な患者や小児患者への負担軽減のため、スキャンスピードの高速化が求められています。
 新製品は、このようなニーズに対応して開発され、ヘリカル用X線管球や、X線吸収効率の極めて高い固体検出器などの搭載により、スキャンスピード0.75秒の高速スキャンを実現し、精密ですばやい撮影を可能にしています。

新製品の主な特長

1. 0.75秒の高速スキャンを実現
胸部検査では患者の息止め1回(30cm領域を20秒強、スクリーニング目的なら10秒強)で撮影が終了する事が可能です。また、腹部の造影検査でも威力を発揮します。例えば肝臓の造影検査で20cmの領域を一息15秒でスキャンできるので造影効果の高い内にスキャンを完了できます。また、1秒で画像の再構成ができるため、撮影の終了とほぼ同時に診断も完了でき、すぐさま患者の解放ができます。

2.当社独自の「リアルテクノロジー」搭載
秒速8枚のスピードでリアルタイムにCT再構成画像を表示できますので、スキャン位置や方向の確認、造影効果の確認等が即座に分かり、迅速な判断が要求される救急患者の検査で威力を発揮できます。また、造影剤の流入を自動検知し最適なタイミングでスキャンを開始する当社独自の技術「リアルプレップ」も装備し、造影剤の流入が低い段階での間欠モニタリングスキャンを新たに導入することで患者への被曝の低減を実現しました。

3.快適な操作性
操作が的確に行えるグラィック・ユーザ・インタフェースを開発し、快適な操作性を実現しています。また、ディスク容量モニターには見易い大型21インチカラーモニターを採用しています。さらにディスク容量は業界最大の12GBを標準で搭載しています。

4.カラー3次元処理
従来、独立型ワークステーションで行っていたカラー3次元処理を標準コンソールで実現しました。画像転送が不要のため、画像収集後、即座に同一コンソールで3次元画像での診断が可能です。また、新規に開発した独自の3次元画像処理アルゴリズム方式を採用しており骨、軟部組識、血管を同時に表示できますので各組織間の位置関係を把握でき、実際の解剖図よりも有効な画像情報を得ることが出来ます。
また、当社独自の技術により、骨による線質硬化のアーチファクトを低減しCTのアーチファクトの原因の大半を占める骨の影響を抑えていますので高画質のCT像を供給でき、その結果鮮明な3次元画像を描出できます。

5.患者被曝を低減
侵襲性の少ない術式で、より快適かつ短時間で検査を行うことができます。患者のX線被曝も侵襲の一つと捉え、最小のX線被曝で高い画像診断能を実現する技術を開発しました。新規開発のX線フィルターにより人体に吸収され易い低エネルギーX線を積極的にカットしています。高速スキャンと低被曝で、小児領域への応用に有効です。

*1 :ヘリカルスキャン方式
 X線管の連続回転照射と寝台の連続スライドの組み合わせで、体軸方向に沿ってらせん状に撮影データを連続収集するスキャン方式。1断層撮影ごとに寝台をずらして間欠的に撮影データを収集する従来CT撮影方式に比べ、臓器全体などの広範囲を高速に撮影できる。
*2 :CT透視
 リアルタイムにCT画像を確認しながら穿刺術やインターベンション術を施行できるシステムで弊社が1993年に世界で始めて発表した画期的テクノロジーであり最小侵襲性治療(Minimally Invasive Treatment)へ貢献している。

以上