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September 16, 1999

世界一静かな検査音を実現したMRI新製品の発売について

 当社は、検査の際に発生する騒音を聴感で90%カットする当社独自の静音化機構「Pianissimo™」を搭載することによって、患者の負担を大幅に軽減できる1.5テスラMRI(超電導式磁気共鳴画像診断装置)「EXCELART™(エクセラート)」を商品化し、本日から営業活動を開始します。なお、新製品の出荷は、10月末からの予定です。

 新製品は、騒音の発生源である傾斜磁場コイルに対して、固体振動の伝播を遮断する「独立支持構造」と、騒音の空気振動伝播を遮断する「真空封入構造」を世界に先駆けて採用するなど、抜本的な静音化対策により、従来装置では聴感で50%程度のカットが限界であった騒音を90%カットすることを実現した世界一静かなMRI装置です。

 さらに、新製品は、世界最大の患者開口径655ミリメートルを実現しており、開放性と静音性を高いレベルで両立しています。

 当社は、新製品が持つ高い画像診断能と静音性・開放性などを通して、医療施設が患者へ提供する医療サービスの質の向上に貢献していきます。

 なお、新製品の国内販売は東芝メディカル株式会社が担当します。

開発の背景と狙い

 MRI装置による検査は、他の画像診断装置による検査と比較して、X線被曝がないことや病変の検出能が高いこと、任意方向の断面で撮像できることなどの利点がある一方で、MRI装置が強力な磁場を発生させる撮像原理が原因となって、大きな騒音(振動音)が発生するため、検査を受ける患者に大きな負担を与えるという課題があります。
 近年のさまざまな技術革新により、最新のMRI装置が提供する画像診断情報の質は飛躍的に向上してきましたが、その弊害として装置が発生する騒音がより大きく耳障りになってきています。その騒音の大きさは、電車の通るガード下や飛行機の離着浴A直下での騒音に匹敵する場合もあります。

 今日、医療施設においては、患者の視点に立った質の高い医療サービスの提供が重要視される傾向が強まっている中、MRI検査の際に発生する騒音を解消することは、画像診断の質の向上とともに患者の検査環境(患者アメニティ)を高めるうえで有効であり、また、重要な課題であると考えられます。

 新製品は、このような背景において、MRI装置としての画像診断能と、静音性・開放性に代表される患者アメニティを高いレベルで同時に満足させることをコンセプトとして開発し、今回、商品化するものです。

新製品の主な特長

1.1.5テスラの高磁場による高い画像診断能
新製品は、医療保険が適用される中では最も高い1.5テスラの静磁場強度を採用するとともに、最新の超高速撮像法や臨床アプリケーションソフトウェアを豊富に装備することなどにより、高い画像診断能を備えています。

2.騒音を聴感で90%カットし、世界一の静音性を実現
固体振動伝播を遮断する「独立支持構造」と、空気振動伝播を遮断する「真空封入構造」の「Pianissimo™」機構により、従来装置では聴感で50%程度カットすることが限界であった騒音を90%カットし、1.5テスラMRI装置として世界一の静音性を実現しています。

3.世界最大の患者開口径655ミリメートルによる高い開放性
装置の設計を最適化することで、患者開口径を世界最大の655ミリメートルに広げ、高い開放性を備えています。
 また、検査を受ける患者が感じる威圧感を軽減するために、磁石架台の外観形状に曲面を多用するとともに、ピンク色をアクセントとして使用したやさしい新デザインを採用しています。

 これらの特長により、以下のような効果が期待されます。

(1)高い静音性により、耳栓などを装着しない普通の状態で検査を受けられるため、患者の隔絶感や孤独感、不安感、恐怖感などが和らぎます。また、装置の高い開放感により、リラックスした気分で検査を受けられるようになります。

(2)乳幼児や小児の検査の際に、撮影中に目が覚めないように投与する眠剤(睡眠薬)量を最小限に抑えることができます。

(3)装置を操作するオペレータにとって、患者から検査に対する協力を得やすくなり、間接的に画像の質の向上が見込めます。

(4)患者の心拍や呼吸の乱れが減るため、これらの乱れが原因となっていた各種のアーティファクト(偽像)が減少し、画像診断情報の質が向上します。

(5)MR脳機能イメージング法では、測定時の外乱要因の1つである騒音が減ることによって、脳の活動に関する情報をより鮮明に検出できる可能性があります。

以上