乳がんの治療法


「手術療法」「放射線療法」「化学療法(抗がん療法)」
「内分泌療法(ホルモン療法)」
「抗体療法(分子標的療法)」

乳がんの治療法には「手術療法」「放射線療法」「化学療法(抗がん療法)」「内分泌療法(ホルモン療法)」の4つの方法があります。また最近では「抗体療法(分子標的療法)」も注目されています。

手術療法

乳房にできたがんを手術により取り除く、手術可能な場合には治療の第一方法です。乳がんの手術法には、乳房全体を取り除く「乳房切除術」と、しこりを含む乳房の一部だけを切除する「乳房温存術」の2つに分けることができます。
早期のがんであるほど乳房温存術の適応となり、美容的にも気にならない程度の手術ですみます。

放射線治療法

放射線にはがんを死滅させる効果があります。乳房温存術後には、転移した乳がん細胞による再発を予防するため、残した乳房に必ず放射線照射が行われます。乳房切除を行った場合でもリンパ節転移が多数発見された場合には、鎖骨などにも照射されることがあります。放射線照射はふつう手術後2~3週目から始めて3~4週間行います。
正常な組織にも放射線がかかるため、皮膚が赤くなったり、色素沈着や脱色、乳房が硬くなるなどの変化が起きたり、むくみ、疲労感、嘔吐、下痢、発熱などの副作用がある場合もあります。

化学療法

がん細胞を死滅させる効果を持つ化学療法剤(抗がん剤)を用いた治療法です。
手術のあと、術後補助療法として、画像では確認できないような体内に残っている(かもしれない)がん細胞を殺し、再発を防ぐために行われます。6ヶ月から2年間にわたって経口剤を服用する長期投与、複数の薬を組み合わせて点滴注射する多剤併用療法などが行われます。そのままの大きさでは温存手術が難しい場合には、まず化学療法を行って腫瘍を小さくしてから手術を行う、術前補助療法(ネオアジュバント療法)として行われることもあります。
放射線治療同様に正常な組織にもダメージを与えるため、吐き気や脱毛、血球の異常などの副作用がでます。

内分泌療法

乳がんにはホルモン(エストロゲン)の影響を受けやすいタイプのものと受けにくいタイプのものがあり、影響を受けやすいタイプでは、薬でホルモンを調節することにより、がん細胞の発育や増殖を抑制することが期待できます。エストロゲンに反応しないタイプのものもあり、そのような患者さんには適応されません。術後長期間(2~5年間)継続することで再発を予防する効果が期待できます。抗がん剤と併用したり、いくつかのホルモン療法剤を組み合わせて使用されることもあります。生理がある方とすでに閉経を迎えた方では、薬の内容が変わります。

抗体療法

これまでの治療では,がん細胞だけでなく正常細胞にも影響が見られました。この薬は、がん細胞の表面に、HER2(ハーツー)受容体という、細胞の増殖に関与するタンパク質をもった乳がん細胞だけを選択的に標的とします。こうした治療は抗体療法と呼ばれ、最近もっとも注目されている方法のひとつです。
この治療の効果があると期待されるHER2受容体をたくさんもつ患者さんは、乳がん患者さん全体の約30%にあたるとされています。
一方、HER2受容体を多くもつがん細胞は、攻撃的で増殖速度が早く、予後の悪いことがわかっています。
HER2受容体の有無は、手術や生検で採取した病変組織を検査することで確認できます。現在この薬は、乳がんと診断されたときすでに、他の臓器(肺、肝臓、骨など)に転移があったり、手術後に再発が起こった転移性の乳がん患者さんに対して用いられます。

乳がんの治療法といってもいろいろあります。
まず自分のがんの状態を正確に把握し、医者からの説明もきちんと受け、自分にとって納得のいく最良の治療法を選んで下さい。

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