October 23, 1997
当社は、身体の断層画像を連続撮影できるヘリカルスキャン方式(*1)の全身用X線CT装置として、低価格化を実現するとともに、設置面積を約18m²と業界最小クラスに低減した「Auklet(オークレット)」を開発し、営業活動を開始しました。
新製品は、X線発生器を本体に内蔵するとともに、ワークステーションタイプの操作卓を採用することにより本体をコンパクト化し、わずか約18m²のスペースに本体を設置することが可能です。また、カラー大画面ワークステーションを採用し、従来に比べ操作がしやすくなっているとともに、部品点数を大幅に削減するなど、低価格化を実現した高性能ヘリカルスキャン方式の全身用X線CT装置です。
新製品の販売価格は、本体と寝台およびワークステーションタイプの操作卓の標準構成で2億8千万円です。国内販売は平成9年10月からで、東芝メディカル株式会社が行います。また、国内と同時に海外市場へも新製品を投入し、年間で600台の販売を予定しています。
X線CT装置は、コンピュータを用いて人体の断層を撮影する画像診断装置で、身体にメスを入れること無く人体深部の診断が容易にできることから、医療機関での導入が進んでおり、現在、日本国内で約1万台が稼動しています。
東芝が世界に先駆けて開発に成功したヘリカルスキャン方式のX線CT装置は、臓器全体に対し短時間で精密な検査ができるため、撮影中呼吸を止める必要のある肺の検査、腹部造影検査、救急外傷患者及び治療装置との組み合わせによる手術支援など広範囲にわたり利用が進んでいます。このような中で、ヘリカルスキャンは、より精密な画像の撮影や患者への負担の軽減を図ることが可能で、今やX線CT装置の機能としては欠くことのできないものとなってきています。
当社は、現在、国内のX線CT装置市場で約5割のシェアを確保しています(当社調べ)。今回、ヘリカルスキャン方式X線CT装置のラインアップを充実することにより、ヘリカルスキャンを幅広く提供できるようになりました。また、約18m²のスペースに本体を設置することができるほか、大型カラー画面のワークステーションタイプの操作卓を採用するなど、初めてCT装置を導入される施設でもパソコンのように操作することが可能です。
さらに、高出力X線発生器と大容量2MHU(メガヒートユニット)X線管球を標準で搭載することにより、高級機並の実用性を実現するとともに、高級機で培ってきた画像再構成技術を新製品Aukletに継承しており、高精度な画質を提供しています。
(注)
*1・・・ヘリカルスキャン方式
X線管の連続回転照射と寝台の連続スライドの組み合わせで、体軸方向に沿ってらせん状に撮影データを連続収集するスキャン方式。1断層撮影ごとに寝台をずらして間欠的に撮影データを収集する従来CT撮影方式に比べ、臓器全体などの広範囲を高速に、例えば患者の一呼吸停止間に肝臓全体を撮影できる。またヘリカルスキャン方式で収集したデータは従来CT撮影方式と比較して体軸方向に2倍の空間分解能を持つため、高精細3次元表示等の元データとしても不可欠なものである。
*2・・・空間分解能
組織の密度によって異なるX線吸収度の差の比較的大きな物質がどの位小さいものまで検出できるかを示す尺度。
*3・・・密度分解能
組織の密度によって異なるX線吸収度をどの程度の差まで検出できるかを示す尺度
検出器 | : | 高効率ガス検出器 |
密度分解能 | : | 2mm(0.5%) |
空間分解能 | : | 12 lp/cm |
スキャン時間 | : | 1.1、1.8、3、4秒 |
最長連続スキャン時間 | : | 45秒 |
再構成時間 | : | 8秒以下 |
撮影領域 | : | 最大430mm |
ガントリ開口径 | : | 65cm |
ガントリチルト角 | : | +/-25度 |
磁気ディスク容量 | : | 画像1400枚+生データ200枚相当分 |
スライス厚 | : | 2、3、5、10mm |
ヘリカルスキャン | : | 標準装備 |
推奨設置面積 | : | 18m² |