September 2, 2004
東芝メディカルシステムズ株式会社(社長:桂田昌生 本社:栃木県大田原市)は、医療施設の診断から治療にわたるあらゆるニーズへのトータルソリューションを提供する、国内市場における画像診断システムのトップメーカーです。
Aquilion 当社は、0.5mmスライス厚で64列同時撮影マルチスライスCT( Aquilion64列システム)を、本日、世界同時に販売開始いたします。
今回販売開始したマルチスライスCTは、フルスキャン0.40秒の高速撮影技術*1と東芝独自の64列検出器を用いた64列同時撮影データ収集、高速・高画質画像再構成技術の組合せにより、真のボリュームスキャンを実現いたします。最小スライス厚の0.5mmで64列同時にデータ収集が可能となり、高精細画像が高速で得られます。これにより当社がマルチスライスCT開発当初より提唱し続けている、アイソトロピック分解能が全てのCT検査で実現できます。その一方で、膨大化するデータをマネージする画期的なワークフローを採用し、術者にストレスを与えない優れた操作性を実現しています。
また同時発売した Aquilion64列システム スーパーハート™エディションでは全心臓領域の検査を7秒以内で完了できます。それにより被検者の心拍状況に左右されない安定した冠動脈イメージング、心機能解析が可能となります。
さらに東芝独自の「ハートナビ*2」機能により、被検者の心拍状況事前モニタリングで検査と解析の自動化が図られ、安定した高精細画像を容易に得られます。このように従来のAquilionで培われ好評の「Coronary Imaging Technology*3」を64列システムに搭載し、全心臓を冠動脈の詳細に至るまで鮮明に描きます。
Aquilion64列システム スーパーハートエディションは、今年の3月から藤田保健衛生大学(愛知県)に設置し、製品の完成度を高める評価を行って参りましたが、年内に世界の12施設以上での稼働を予定しています。
Aquilion64列システムはスーパーハートエディションも含めて、来年度生産500台以上を見込んでいます。
64スライス同時撮影を実現したマルチスライスCTは、患者さんにより優しい設計となっています。
*1 0.40秒回転 | フルスキャン0.40秒回転はオプション品です |
*2 ハートナビ | 被検者の心拍状況を事前にモニタリングし、最適な撮影条件を自動的に撮影プロトコールに反映することにより、特に難しいとされる心臓撮影において、常に安定した結果を提供するしくみ |
*3 Coronary imaging technology | 東芝の冠動脈描出技術の総称で、検出器技術、高速スキャン技術、高精度画像再構成技術、心電同期画像再構成技術、ハートナビ技術を示しています |
*4 アイソトロピック | 等方性」という意味で、3D画像を作成する時に、使用するデータが、X軸、Y軸、Z軸の各方向ともほぼ同じサイズの立方体として得られること(どの方向にも等質な高い分解能を有するという意味でこの言葉を用いる)。
藤田保健衛生大学 片田教授はマルチスライスシステムが持つべき最も重要な特性として、これを提唱されています。 |
*5 量子フィルター | 3次元的な画像処理技術で、低線量撮影で増大するノイズを輪郭の鮮鋭度を犠牲にせず低減する技術 |
*6 「RealEC(Real Exposure Control)」 | 位置決め画像から全スライスが同じ画像SDで画像表示できる最低mAを計算、ヘリカルスキャン中に電流制御を行います。これにより最大40%の被ばく低減が図れます。 |
*7 「RealPrep(リアルプレップ)」 | 造影検査の最適タイミングをAutoとManualでセッティングでき、造影剤のタイミングを逃しません。
また、造影タイミングが正確にわかるので、造影剤の総量を減らすことも可能となります。 |
*8 「インジェクター同期」 | 造影剤の注入とCTスキャンを連動させ、スキャンが止まれば自動的に造影剤の注入が停止します。たたし、接続できるインジェクターに制限があります。 |
*9 「T-Modeフィルミング」 | 付帯情報をフィルム上にまとめて見やすく表示します。イメージャーの機種によっては、対応できない場合があります。 |
東芝メディカルシステムズ株式会社は、お客様のニーズにあった質の高い製品を提供することにより、国内CT市場で20年以上連続トップシェアを続けております。今回、Aquilion64列システムを市場に投入することにより、国内では、マルチスライスCT市場で60%以上のトップシェアを継続し、米国、欧州でも25%以上のシェアを獲得し、世界でマルチスライスCTのトップシェアを目指します。
製品名 | 型名 | 価格 | 販売目標(来年度) |
Aquilion | TSX-101A | 19億円 | 200台(国内) 300台(海外) |
(医療用具承認番号:21000BZZ00377000)
1.ボリュームスキャン
全身をスキャンしてボリュームデータとして保存、フィルミング、画像転送などが行えます。また、ボリュームデータを部位別の複数の範囲に分けて、個別に再構成条件を指定できます。たとえば、肩から頭頂部まで一気にスキャンして、頭頂部10mmの厚さ、頭蓋底 5mmの厚さ、頚部1mmの厚さで画像再構成することが可能となります。
2.並列処理(スキャン中も再構成可能)
リアルタイム並列独立処理のプロセッサー技術により、スキャン中も途切れることなく再構成が行えます。最大10枚/秒の超高速再構成技術とあいまって、快適なCT検査ワークフローを提供いたします。
3.高速ヘリカルスキャン
1回転で、64スライスの同時収集とともに、1回転0.40秒の高速スキャン*1ができます。
0.5mmスライスを使った全肺野の精密検査を7秒で行え、また心臓を7秒以内*1で高画質撮影できるため、息止め時間の短縮が可能になり、患者さんの負担が軽減されます。
4.高精度等方性スキャン
一回の息止めだけで全身の様々な部位の様々な検査でも0.5mmを使用したアイソトロピックな高画質画像を入手することができるので、どの角度からでも画質を損なうことなくデータが観察できます。また高精細で、滑らかな3D画像、MPR画像が得られます。
5.超高精度64列57,344素子検出器
世界最小の0.5mmスライス厚で世界最多の57,344素子検出器を採用し、体軸方向に32 mmの範囲をスライス厚0.5mmで64スライス同時スキャンが可能です。さらに検出器に高効率セラミックス材を採用することで、線量を最小限に抑えて高画質を得ることができます。このセラミックス材は、市場最小レベルのノイズ、最高レベルの線量効率を実現し、卓越した低コントラストパフォーマンスを可能にしました。
6.高画質再構成
東芝は独自のヘリカル・コーンビーム再構成技術をAquilion64列システムに搭載しました。画像再構成面に近いビューのデータのみを取り込むことによって、コーン角度効果を低減しアーチファクトを低減させ、高画質を実現しました。近似再構成技術とは異なって、再構成されたアキシャル像の特性は視野全体に渡って一定であり、画像の精度が向上します。
型式:TSX-101A | |
検出器 | 64列×896ch (57,344素子)、32mm (0.5mm×64) |
スキャン時間 | (0.32)、0.5、0.75、1、1.5、2,3秒
オプション: (0.25)、0.40、0.45、0.6秒 ( )内の条件はハーフスキャン |
収集スライス厚 | 0.5、1、2、3、4、6、8 mm
64列:0.5mm×64、32列:1mm×32 |
画像スライス厚 | 64列:0.5, ,1, 2, 3, 5, 7, 10mm |
X線管 容量 | 7.5MHU(MegaCool) |
X線管 冷却効率 | 1,386KHU/min |
X線出力 | 120KV/500mA |
撮影範囲 | 最大長さ180cm
最大直径50cm |
ガントリ開口径 | 72cm |
ガントリチルト角 | +/― 30度 |
画像再構成時間 | 最短 0.1秒 (10画像/秒) SCAN中も再構成並列処理可能 |
リアルタイム画像再構成時間 | 12画像/秒(1スライス512x512再構成時) |
磁気ディスク保存容量 | 生データ720GB(3,600回転分)、画像データ160,000枚 |
造影剤検知自動スキャン機能 | RealPrep標準搭載 |
3次元処理 | 高精細ボリュームレンダリング(カラー)機能標準搭載 |
Aquilion 、RealPrep、スーパーハートは東芝メディカルシステムズ株式会社の商標です。