October 30, 2013
各 位
東芝メディカルシステムズ株式会社
栃木県大田原市下石上1385番地
代表者名 取締役社長 綱川 智
問合せ先 広報室長 小金 輝彦
Tel 0287-26-5100
当社(以下「TMSC」といいます。)の子会社である東芝医療情報システムズ株式会社(以下「TSMED」といいます。)において不適切な会計処理(以下「本会計処理」といいます。)を行っていたことが判明いたしましたので、お知らせいたします。このような事態となり、関係者の皆様にご心配とご迷惑おかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
1. 調査の経緯
TMSCは、TSMEDの経理責任者である取締役管理部長(2012年6月から管理部担当。以下、同じ。)に対して、2013年4月頃からTSMEDの資金収支の過度の悪化、仕掛品勘定の金額の増加等TMSCに報告されたTSMEDの経営状況の不自然さについて指摘し、説明を求めておりました。しかし、取締役管理部長から複数回の報告を受けたものの、いずれも明確な回答にはなっておりませんでした。こうした中、2013年7月にTSMED経理グループ長から、その上司にあたる取締役管理部長の指示により、過去の決算について、仕掛品勘定、無形固定資産(ソフトウェア等)勘定の過大・架空計上を行った旨の報告がなされ、TSMEDにおいて不適切な会計処理が行われているとの疑いが深まったため、TMSCは、代表取締役社長の指揮のもとに社内で特別調査委員会を組成し、社外の専門家(弁護士及び公認会計士)の参画を得て、その助言・支援等を逐次受けながら、調査(以下「本調査」といいます。)を実施し、本調査の最終結果の報告を受けました。
2. 不適切会計処理の概要
本調査の結果判明した本会計処理の概要は、以下の通りです。 TSMEDにおいて、2006年度から2012年度の間、経理責任者の取締役管理部長及びその指示を受けた部下の経理グループ長が、計算書類又は勘定元帳において、①売上計上に伴い計上される売上原価並びに販売費及び一般管理費を減額し資産勘定(仕掛品、ソフトウェア勘定、ソフトウェア仮勘定)に振り替えることにより資産を過大に計上する、②売上原価として計上又は減損処理すべき仕掛品についてかかる処理を行わない等の方法により、利益を過大計上していたものです(以下「本会計処理」といいます。)。本会計処理による2006年度から2012年度までの影響額は累計で9,863百万円と判明いたしました。
なお、本調査においては、本会計処理を主導した取締役管理部長が本会計処理を利用して私的な利得を得ていたという事実は認められませんでした。また、本会計処理について、取締役管理部長を除く経営陣による継続的かつ組織的な関与の形跡は認められませんでした。TSMEDの設立以来10年近くにわたり、経理部門は一貫して取締役管理部長、経理グループ長(及び一般職の従業員1名)で構成され、同社の会計処理に関する権限が取締役管理部長に集中し、経理業務については取締役管理部長及び経理グループ長以外の人間が実態を把握できなくなっていたこと、適切な経営指標の分析が行われていなかったことなど、経営管理が必ずしも十分に機能しなかったこと、取締役管理部長以外の取締役や幹部職員が経理についての十分な知識を有していたとは言いがたいこと等が、本会計処理が長年にわたって発覚しなかった原因になったのではないかと判断いたしました。
また、本調査の結果、TSMEDにおいて類似の会計処理は発見されませんでした。
3. 関係者の処分
本件についての関係者の責任を明確にすべく、以下の処分を実施しました。
TSMED取締役管理部長 解任4. 再発防止策
TMSCが策定したTMSCグループの再発防止策は以下の通りです。
① 定期的な人事ローテーションの徹底
本会計処理が長年にわたって発覚しなかった理由として、TSMED設立時から経理部門は取締役管理部長、経理グループ長(及び一般職員の従業員1名)のみで構成されており、少数の担当者が長年にわたって経理業務を行っていたことにより、会計処理に関する情報を隠蔽することが容易になり、また適正な会計処理が行われているか否かを外部から判断することができなくなっていたことが挙げられます。このため、経理担当者のローテーションを実施することにより、引継ぎを通じて後任者によって会計処理に関するルールからの逸脱の是正を促進してまいります。
② 役職員の会計に関する知識・能力の強化
本会計処理が発生した一因として、経理部門に経理関係業務を一任していたことがあげられます。このため、経理部門以外であっても、取締役等の一定以上の役職員又は経営管理部門の人員についても、会計上の知識に関する研修等を実施して会計上の知識・能力の維持・向上を図ってまいります。
③ コンプライアンス意識の徹底
(1) 経営上層部のコンプライアンス重視の姿勢と継続的伝達
会社として高い倫理観を醸成するためには、経営幹部自らが継続的にコンプライアンスの重要性を強く全従業員に伝達するだけでなく、規範として行動で示さなければならず、社長をはじめとする会社上層部の言動で従業員に示すように努めてまいります。
(2) コンプライアンス教育の改善
役員及び従業員のコンプライアンス意識、倫理観の醸成には、実務に即したコンプライアンス研修の機会を増やしていきます。
④ 内部通報制度の改善
制度の運用方針の明確化(通報された情報や通報事実の取扱い、通報への対応方針)や制度自体の周知、経営者による不正行為を通報できる当社又は(株)東芝を含む通報窓口の拡充などを含め、内部通報制度の改善と活性化を図ってまいります。
⑤ 監査役監査の充実
監査役人数の増員、常勤監査役の設置等を検討してまいります。また、監査役による監査を実効あらしめるため、監査役を補助する部署・従業員の設置や、(株)東芝からの監査の拡充・子会社との連携等も進めてまいります。