『インフルエンザウイルスキットRapiim Flu-AB』

-A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスの両陽性判定についてー





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インフルエンザウイルスキットRapiim Flu-ABの検査結果において、A型インフルエンザウイルス、及びB型インフルエンザウイルスの両陽性の判定が表示されました。『偽陽性』判定の可能性はありますか。
 


A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスの重複感染の可能性もありますが、一方では、非特異的な反応等により、重複感染でない場合でも、インフルエンザウイルスキットRapiim Flu-ABで両陽性の結果を示す可能性があります。発生原因につきましては、下記【使用上のご注意】をご参照ください。

2015年~2017年に実施した相関性試験では1,450件中31件で両陽性の判定となり、ウイルス学的検査(ウイルス分離培養で差異がある場合、遺伝子増幅検査(PCR)を追加実施し、真の結果とする)による確定検査では、31件中、1例でA型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスの両陽性、11例で陰性となりました。
なお上記相関性試験における弊社製品のウイルス学的検査との陰性一致率は下表の通りです。



表. ウイルス学的検査との陰性一致率

  A型インフルエンザウイルス B型インフルエンザウイルス
鼻腔拭い液 93.1%(390/419) 97.8%(478/489)
鼻腔吸引液 96.1%(148/154) 96.7%(148/153)
鼻かみ液 97.0%(128/132) 93.2%(110/118)
咽頭拭い液 96.4%(242/251) 94.6%(226/239)
全体 95.0%(908/956) 96.3%(962/999)



【本製品の検出原理】
本製品は、微粒子とセンサそれぞれに抗体をつけて、インフルエンザウイルス抗原と抗体を反応させてセンサ表面に微粒子を集めます。微粒子が集まると光が散乱されて減衰するので、それを指標に陰性(減衰小)と陽性(減衰大)を判定するものです。


【使用上のご注意】
上記検出原理における反応系の特性から、下記の要因により、偽陽性が発生することが報告されておりますので、ご使用の際にはご注意くださいますよう、お願いいたします。
1)本製品指定以外のスワブ使用
本製品指定のハイドラフロック・スワブ以外のスワブを使用した場合、スワブからの溶出物が影響して光の散乱が大きくなり減衰率が増大します。そのため、偽陽性(両陽性を含む)となる可能性があります。
偽陽性を防止するため、本製品指定のハイドラフロック・スワブをご使用ください。

2)凍結、又は高温環境下での保管
本製品を凍結、又は高温環境下で保管した場合は、抗体が変性し、反応の特異性が失われ、非特異的に粒子が吸着することで、光の減衰率が大きくなり、偽陽性が発生する可能性があります。 抗体の変性を防止するため、本製品は2℃~30℃で保管してください。

3)個包装開封後の吸湿影響
本製品は吸湿すると、溶出する試薬量が低下します。そのため光の減衰率を算出する基準ポイントの値がずれて減衰率を高く算出し、偽陽性となる可能性があります。
本製品は、検査カートリッジと試薬付きノズルが個別包装されておりますので、使用直前に開封し、直にご使用ください。

4)使用温度範囲の逸脱(低温環境下での使用)
本製品の使用温度は、15℃~30℃です。使用温度15℃を下回ると、試薬付ノズルから溶出する試薬量が不足するため、上記「3)個包装開封後の吸湿影響」と同様に偽陽性となる可能性があります。試薬量の不足を防止するため、本製品は、使用前に15℃~30℃の環境下で15分~30分程度馴染ませてから、ご使用ください。

5)試薬付ノズルの再使用
本製品では、試薬付ノズルを交換せず、残試料を用いて再検査した場合、試料に溶出する試薬量が不足し、「3)個包装開封後の吸湿影響」と同様に偽陽性が発生する可能性があります。
本製品は単回使用であるため、新しい試薬付ノズル、検体処理液、検査カートリッジを用いて、検体採取からやり直してください。

6)患者様の特定成分の影響
本製品は、患者様の検体に含まれる粘性成分や血液凝固因子が高濃度に含まれる場合に、試薬に含まれる粒子の非特異的な吸着が増加し、光の減衰率が大きくなることで偽陽性が発生する可能性があります。粘性が高い検体等の場合には、懸濁量を少量にするなどの処置を行い、本製品をご使用ください。

弊社インフルエンザウイルスキットRapiim Flu-ABで両陽性の判定結果となった場合には、上記【使用上のご注意】をご確認いただき、A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスの重複感染による確定診断に至っては、適宜再検査を実施し、臨床症状や流行状況及び他の検査結果から総合的に判断をお願いします。
以上