脳の病気にはどんなものがあるの?

脳の病気には、頭痛、脳卒中、認知機能疾患、脳腫瘍などさまざまな病気があります。
いつもと違う症状を感じたら、ためらわず脳神経外科・脳神経内科などの専門医による診断を受けるようにしましょう。
各病気に適した診療、検査を迅速に行うことが重要です。


【頭痛】

片頭痛:
脳の血管が拡張することで、こめかみから目のあたりにズキズキとした痛みが生じます。
日本人の年間有病率は約8.4%※1と、多くの人が悩まされているとされています。女性ホルモンと関連があるため、生理中に症状を感じる女性も多くいます。
数時間から数日症状が続く場合もあり、視野がチカチカしたり、吐き気を伴ったり、日常生活に支障をきたす場合もあります。

緊張型頭痛:
15才以上の日本人の22%※2がこの緊張型頭痛と言われています。
頭の中に器質的な原因が見つからず、頭や首周りの筋肉の張りや凝りが原因と考えられています。
長時間同じ姿勢、緊張などの精神的なストレスにより、筋肉が強張り、血流が悪化、たまった老廃物が神経を刺激し、痛みを感じるようになります。痛みがさらなるストレスとなり、症状が悪化することも。リラックスを心がけ、適度な運動を取り入れることも大切です。

群発頭痛:
片側の眼の奥からこめかみにかけて、突き刺すような激しい頭痛が起こります。1回の頭痛は15分から数時間程度と片頭痛よりも短いものの、1日に複数回繰り返したり、1年のうち同じ時期に症状が出たりすることが特徴です。
目の奥の血管の拡張により炎症が生じて神経を刺激するため、と考えられていますが、まれな病気のこともあり、原因は明らかにされていません。
激しい痛みを伴い、また同じ症状を呈しても他の疾病に由来する場合もあるため、専門医による診察を受けるようにしましょう。

【脳卒中】

脳の血管が詰まったり、破れたりすることにより脳がダメージを受ける病気の総称です。
意識障害、手足や顔の麻痺(うまく動かないこと)・しびれ・言語障害(言葉が発せられない/理解できない)・視野障害(視野が狭くなる)など人により様々な症状がありますが、「普段とは明らかに違う」と感じたら、すぐに救急車を呼びましょう。様子を見ても、脳細胞はどんどん死滅してダメージが大きくなります。発症後できるだけ早く治療を開始することが大切です。
脳梗塞・くも膜下出血・脳出血などはこの中に含まれます。
脳梗塞:
脳卒中のうち、脳血管が何らかの原因で詰まり、血液が届かなくなった脳の部分が壊死することをいいます。
比較的ゆっくり症状が進行することもあり、夜に休む際には特段症状がなかったものの、朝起きたら手足が動かない、話しにくい、などの症状が出ていることもあります。
高齢の方に起こりやすく、高血圧、糖尿病、悪玉コレステロールや中性脂肪が高い場合、動脈硬化がおこりやすく、脳梗塞が発症するリスクが高くなります。

脳出血:
脳卒中のうち、なんらかの理由により脳内で小さな血管が破綻して出血することを言います。出血した血液が直接脳の細胞を壊したり、血腫(血液のかたまり)が脳を圧迫したりします。
脳梗塞と同じような症状が見られますが、典型的な例では、突然、頭痛や嘔吐を感じ、半身麻痺やしびれなどの症状が出てくるとされています。
多くは高血圧が原因とされ、生活習慣の改善や降圧剤により予防できます。

くも膜下出血:
突然、頭が割れるような頭痛を感じます。発症者の約半数は死亡か高度障害となり、年間約11,000を超える人※3が亡くなる大変危険な病気です。
多くは、主要血管の分岐部などに発生したこぶ(脳動脈瘤)がさけて出血することが原因とされますが、脳動脈瘤自体ができる原因は現在でも不明です。
高血圧を予防することにより、破裂の危険性を下げることができると言われています。

(参考)脳動脈瘤:
脳内の動脈内に何らかの原因でこぶ(瘤)が出来ることです。これが破裂し、脳内に出血することが「くも膜下出血」です。

脳腫瘍:
頭蓋骨の中に出来る腫瘍の総称で、良性から悪性まで多種多様にわたります。
脳卒中に比べるとゆっくり症状が進行し、腫瘍が大きくなるにつれ、頭痛・嘔吐の他、けいれん発作、手足の麻痺、言語障害、視野障害、意識障害などがでてきます。
その他の箇所にできる腫瘍と同様に、外科手術、放射線治療、化学療法などが行われます。

※1日本神経学会  神経内科の主な病気 片頭痛
https://www.neurology-jp.org/public/disease/zutsu_detail.html
※2医療法人いちえ会 伊月病院 頭痛について:その1 緊張型頭痛
https://www.itsuki-hp.jp/radio/kako-100124

監修:齊藤 邦昭 先生
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科
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