April 5, 2004
東芝メディカルシステムズ株式会社(社長:桂田 昌生 本社:栃木県大田原市)は、医療施設の診断から治療にわたるあらゆるニーズへのトータルソリューションを提供する国内市場における画像診断機器のトップメーカーです。
当社は、1978年に日本初の全身用CT装置を発売して以来、業界のリーディングカンパニーとして、先端技術の開発と高品質な製品の提供により日本国内はもとより、世界市場での確固たる地位を築いてきましたが、2004年3月25日にCT装置の生産累計1万5千台を達成いたしました。
CT装置は人体に多数の方向からX線を照射し、透過してきたX線のデータを元にして人体の断層を画像化する装置です。身体にメスをいれることなく人体深部の診断が容易に行えるため、医療機関での導入が進んでいます。
CT装置は1972年に英国のハンスフィールド博士により開発されました。
1974年に東芝はCT装置を製品化したEMI社(英)と販売契約を結び、日本での販売を開始し、1975年には東京女子医大に日本で初めてCT装置を納入しました。
その後EMI社製製品の販売や製造を行いながら、自社製品の開発を始めました。
そして、1978年に当社製第1号機「TCT-60A」が日本初の国産全身用CT装置として国立がんセンターに据え付けられました。
2年後の1980年にはCT装置の累計生産500台を達成しました。技術の進歩によりCT装置は年々高速化、多列化していき、画像の鮮明さやスキャンスピードが飛躍的に向上するにつれ広く利用されるようになり需要も増えてきました。累計生産台数も1982年に1,000台、1990年に5,000台を達成、1998年には単一企業としては世界初の10,000台を達成その後わずか66ヶ月で15,000台を達成いたしました。
当社は累計生産台数1万5千台を達成する過程で様々なCT技術の開発を行ってきましたが、これは医療機関との共同研究など医療に従事する方々のご支援をいただき、真に臨床の最前線で求められているCT技術の開発が可能となったものです。当社のCT事業開始以来現在にいたるまでの間に、藤田保健衛生大学、福島県立医科大学、国立がんセンターなどの最先端の医療機関と共同開発を進めてきております。その結果として、1991年には、世界で初めてヘリカルCT*1機能の搭載を可能にしました。この装置は、1983年に米国、欧州、日本で特許を申請し、その後権利を取得した当社独自のヘリカルに関する基本特許に基づいており、当社の豊富な先端技術の蓄積により実現したものです。ヘリカルCTの導入により、臓器全体を短時間で精密に検査することが可能となり、被験者の負担が軽減されました。さらに1993年にはCT透視技術を、1998年にはマルチスライスヘリカルCT技術を開発しました。2002年には世界最小0.5mmスライス厚で16枚同時収集可能なマルチスライスCT装置を開発し、CT装置の循環器領域への応用を可能にするなど、常に世界のCT技術をリードしています。そしてヘリカルCT装置開発の功績が認められ、1993年には「機械振興協会通産大臣賞」を、1998年には「市村賞」、2003年にはマルチスライス検出器の開発に対して「蛍光体賞」を受賞しました。
*1 ヘリカルCT: | X線管を高速で連続回転させながら患者を撮影し、らせん状に撮影データを連続収集する方式。従来のCTと比べて短時間に広範囲の撮影ができる。 |
*2 CT透視方式: | CTのリアルタイム画像再構成技術を応用し、医師がCTスキャンの横に置いたモニター画面を見ながら針を刺したり、組織の一部を取るなどの処置ができる。 |
このように、当社は長年にわたりCT装置の技術開発を行ってきました。特に、スキャンスピードの高速化、画像の精細度の向上、より薄いスキャン幅の実現など医療現場からの要求を満たした製品を送り出してきました。この結果、当社は国内市場で50%以上のトップシェアを占めており,東京大学、京都大学、大阪大学、広島大学、九州大学などへCT装置を納入しております。世界市場でも米国Johns Hopkins大学、Harvard Medical School(BID)、ドイツベルリンHumboldt大学 Charite,オランダライデン大学、ドイツ国立がんセンター(DKFZ)などの最先端の医療機関へ納入し共同開発を進めてきております。
当社は今後とも、医療の最前線の施設の支援をうけながらグローバル規模でのCT装置のリーディングカンパニーとして先進的な技術開発を進め、高性能の製品の供給し医療の発展に寄与していきます。
以上