気候変動と脱炭素目標

キヤノンメディカルシステムズは、2015年に国連で採択されたパリ協定を支持し、気候変動の影響を最小限に抑えるための取り組みを進めています。2022年12月には、キヤノンメディカルシステムズおよび全世界のグループ会社・事業所におけるCO₂排出量の中期計画を策定し、2030年までにスコープ1およびスコープ2の排出量を2022年比で42%削減することを目標に掲げました。この計画は、カーボンニュートラルの実現に向けた大きな一歩となります。

二酸化炭素排出量

キヤノンメディカルシステムズは、CO₂排出量の削減に取り組んでおり、2022年の排出量は36,260トン、2024年には31,419トンへと削減しました。この削減の主な要因には、カーボンクレジットの活用に加え、国内生産拠点における省エネ活動が含まれます。具体的には、製造施設における待機電力の削減や、高効率機器への更新などが挙げられます。

また、販売会社においては、セールスカーやサービスカーの燃料消費量削減を目的に、ガソリン車からハイブリッド車や電気自動車への切り替えを進めています。さらに、欧州の一部地域や日本では、再生可能エネルギーの活用を通じて、CO₂排出量のさらなる削減にも取り組んでいます。

環境目標と実績

2030年目標 2024年実績
CO₂総排出量(2022年比)*1 スコープ1&2:42%削減 スコープ1&2:13.4%削減
2024-2025年目標 2024年実績
全体(ライフサイクル) ライフサイクルCO₂排出量を年平均3%改善製品別改善指数 年平均:2%悪化
製品 原材料・使用量の年平均3%改善製品別CO₂排出量改善指数 年平均:2%悪化
2025年目標 2024年実績
拠点*2 エネルギー使用量の原単位改善度:2.4% 那須本社 13%改善
赤穂事業所 4%改善
廃棄物総発生量の原単位改善度:1% 那須本社 1%改善
赤穂事業所 12%改善
水使用量の改善度:前年維持 那須本社 2%悪化
赤穂事業所 44%改善
管理化学物質排出量の原単位改善度:1% 那須本社 2%改善
赤穂事業所 ±0%改善

*1 対象は、国内、海外拠点
*2 対象は、国内生産拠点

環境に配慮した設計

医療従事者や患者にとって最大の価値をもたらすとともに、環境への影響を最小限に抑えるよう、
製品のライフサイクルを通じて配慮した設計をしています。

キヤノンメディカルシステムズは、世界190以上の国と地域で商品とサービスを提供しています。さらに、世界の有力な研究機関と連携し、共同研究開発を通じて革新的な技術の創出に取り組んでいます。

また、持続可能な地球環境に貢献することを目的に、毎年、環境に配慮した製品を市場に出しています。

キヤノンメディカルシステムズでは、医療機器の環境配慮設計に関する国際規格であるIEC 60601-1-9*に準拠した製品の開発・設計プロセスに基づき、省エネルギー化や資源使用の削減に向けたさまざまな取り組みを実施しています。さらに、製品効率の向上に注力しながら、環境配慮設計を製品に組み込む努力を続けており、お客様のご要望に応じて、製品に関する環境情報も提供しています。

*IEC 60601-1-9:医療機器の環境規制への適合を目的とした、環境配慮設計に関する国際電気規格。

キヤノンメディカルシステムズ株式会社は、日本画像医療システム工業会(JIRA¹)およびその国際上位組織であるDITTA²の環境委員会に積極的に参画しています。また、EUエコデザイン指令³に対応するため、欧州の業界団体COCIR⁴が主導するエコデザイン推進の自主的取り組みにも参加し、他の加盟企業と協力して、省エネルギーや資源の有効活用、有害化学物質の管理にも取り組んでいます。

これらの取り組みの成果は、欧州連合(EU)にも報告・共有されており、近年では、EUが推進するサーキュラーエコノミー(循環型経済)に対応するかたちで、重要原材料(CRM⁵)の使用量を把握・削減する技術の検討を強化しています。あわせて、有害化学物質の排除に向けた積極的な対策も実施しています。

  1. JIRA:一般社団法人 日本画像医療システム工業会
  2. DITTA:国際画像診断・治療機器工業会
  3. EUエコデザイン指令:エネルギー関連製品に対して、環境配慮設計要件の枠組みを定めるEU指令
  4. COCIR:欧州放射線・電気医療・医療IT産業協議会
  5. CRM:重要原材料(Critical Raw Materials)

環境に配慮した製品

キヤノンメディカルシステムズは、画像診断、ヘルスケアIT、体外診断の分野で、医療従事者に幅広い環境に配慮された製品とサービスを提供しています。

循環型製品ライフサイクル

事業活動において消費した資源を有効に活用するため、中古製品の再生や、製品の修理に使用するパーツの再利用に取り組んでいます。日・米・欧の3地域に中古品再生の拠点を設け、国際規格IEC 63077*に準拠した「Secondlife」と呼ばれる再生整備プログラムを推進しています。

*IEC63077:国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)が、中古医用画像機器の再生整備のために制定した国際標準規格。2019年11月制定。「Good refurbishment practices for medical imaging equipment」(医用画像機器の良質な再生整備方法)と題される。

「Secondlife」では、まず再生整備に適した中古医用画像機器を選別・回収します。次に、回収した機器に対して、消毒、洗浄(再塗装を含む)、機能性能テスト、安全性の徹底的な確認を実施します。最終的に、機器を丁寧に梱包し、安全に輸送したうえで、設置(据付)を行います。
これと並行して、再生品の中古部品供給体制を整備し、確実なアフターサポートを提供しています(下図参照)。また、修理用部品の再利用にも取り組んでおり、製品から回収した部品は、清掃・外観検査・機能確認を経て選別され、その後、品質テストを通過したものがパーツセンターへ送られ、修理用途として再活用されています。

梱包材使用量

キヤノンメディカルシステムズは、新製品の出荷時に使用される包装材、特に石油由来の素材の使用量削減に取り組んでいます。削減は、包装工程の簡素化および1システムあたりの梱包点数の削減によって実現しています。

2024年における包装材の使用量は2,651トンで、2023年比で3%増加しました。これは主に、梱包点数の多い製品の出荷が増加したことによるものです。

私たちは常に包装効率の改善に取り組み、製品を安全にお客様へお届けできるよう努めています。日本国内での輸送においては、新たなコンセプトを導入し、鉄道や船舶などの低炭素な輸送手段の活用を推進しています。
キヤノンメディカルシステムズの包装資材は、主に再生可能資源やリサイクル素材から作られており、すべての木材にはFSC認証が付与されています。

※FSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)は、持続可能な森林管理を推進する国際的な認証制度です。

環境への取り組みを加速させる合言葉「Minimum energy 360」

私たちの身の回りには、解決すべきさまざまな環境問題が存在しています。キヤノンは、全従業員が共通の意識を持ち、省エネルギーと省資源の取り組みを加速するために、「Minimum Energy 360(ミニマム・エナジー・スリー・シックスティ)」というスローガンを掲げています。

このスローガンは、「全方向(360°)にわたって使用するエネルギーを最小化する」という意味を込めた合言葉であり、キヤノンが製品の開発・生産を行うときはもちろん、輸送・物流の過程やお客様による使用時、さらには再利用に至るまで、バリューチェーンのあらゆる場面において最小限のエネルギーで活動することを目指す姿勢を表しています。

この言葉を社内の合言葉として共有することで、従業員一人ひとりが「あらゆる企業活動を最小のエネルギーで行う/行えるようにする」という意識を持ち、それをキヤノンの企業文化として根付かせていきたいと考えています。

生物多様性

キヤノンメディカルシステムズ株式会社では、2013年より、生物多様性の重要性について理解を深めてもらうことを目的に、「いきもの観察会」を開催しています。2024年には、従業員とそのご家族、近隣の小学生を含む100名を超える参加がありました。

環境省:「自然共生地域」に認定(2020年上半期:69件認定)

キヤノンメディカルシステムズ株式会社の本社(栃木県大田原市)は、環境省が定める「自然共生サイト」に認定されました。「自然共生サイト」とは、2030年までに陸地と海洋の30%以上を健全な生態系として効果的に保全するという世界目標(30by30)の達成に向けて、「民間の取組等を通じて生物多様性の保全が推進されている地域」を国が認定する制度です。
那須本社では、2011年より、NPO法人栃木県環境カウンセラー協会の支援のもと、生物多様性に関する取り組みを展開しており、「いきものと共存した企業づくり」をコンセプトに活動しています。
その一環として、構内約1万㎡の緑地の改善を通じて生き物が生息しやすい環境づくりを進めているほか、生物多様性の重要性を体感してもらうため、毎年「いきもの観察会」を実施し、従業員だけでなく地域の方々にもご参加いただいています。
今後も、これらの取り組みを継続し、生物多様性に富んだ地域の持続可能な管理に向けて、多様な課題に積極的に取り組んでいきます。

従業員への環境教育

キヤノンメディカルシステムズでは、環境方針および環境活動の遵守を確実にするため、契約社員を含む全従業員を対象に環境研修を実施しています。2024年には6,319名以上が環境教育を修了しました。さらに、専門家や内部環境監査員向けの研修も行い、各チームや部門で最大限の遵守を維持できるようサポートしています。環境研修は新入社員のオンボーディングプロセスの一環としても組み込まれています。

最高水準の設定

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環境憲章とビジョン

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環境方針

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環境に配慮した経営

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「キヤノン」:キヤノン株式会社およびその連結子会社すべてを含むグループ全体を指します。
「キヤノン株式会社」:キヤノン株式会社単体を指します。
「キヤノンメディカルシステムズ」:キヤノンメディカルシステムズ株式会社およびその連結子会社すべてを含むグループ全体を指します。
「キヤノンメディカルシステムズ株式会社」:キヤノンメディカルシステムズ株式会社単体を指します。