ダイバーシティ&インクルージョン

人財における健全な組織文化の醸成
キヤノンメディカルシステムズは、「共生」の理念に基づき、多様性を尊重しながら、人材を公平に活用するための体制を整えています。
女性の活躍推進、育児支援、障がい者の雇用創出、さらには世界各地でのSTEM(科学・技術・工学・数学)教育の支援に積極的に取り組んでおり、こうした活動を通じて、持続可能で多様性に富んだ社会の実現に貢献しています。

育児における男女平等の推進(日本)
キヤノンメディカルシステムズでは、従業員が安心して子育てできるよう、法定基準を上回るさまざまな制度を整えています。
具体的には、子どもが3歳になるまで利用できる育児休業制度や、子どもが小学校を卒業するまで1日最大2時間の短時間勤務制度があります。
さらに、配偶者が出産した男性従業員に対しては、5日間の育児休暇を取得できる制度も導入しています。

育児休業取得者数
総数 育児休業を取得した従業員数
男性従業員 115 66
女性従業員 26 21

キヤノンメディカルシステムズ育児休業取得率
(%)
育児休暇(男性) 育児休暇(女性)
日本/アジア 51 69
オセアニア 3 5
北米 50 25
ヨーロッパ 53 47
南米 100 100

育児と仕事が両立できる職場づくり

オレア・メディカルは、従業員の育児参加を支援するため、以下の取り組みを導入し、生活の質(QVCT)と労働条件の向上を目指しています。

育児支援制度の概要
父親育児休暇の拡充
法定の21日間の父親育児休暇中は給与が全額支給されるため、父親は出産直後から積極的に育児に参加することができます。

産前産後休暇の延長制度
母親は、法定産休開始前に申請すれば、給与の80%を維持したまま休暇を延長することができます。
・第1子・第2子:最長6ヶ月まで
・第3子以降:最長9ヶ月まで
・多胎出産:最長10ヶ月まで

段階的復職支援(3週間プログラム)
週2日から開始し、4週目までにフルタイム復帰します。勤務しなかった日数分の給与は90%支給されます。復職の1ヶ月前までに申請が必要です。

子どもの疾病時の休暇
16歳未満の子1人につき、年間4日間の休暇を取得できます。休暇は給与の90%が支給されますが、医師の診断書が必要です。
これらの制度は、仕事と家庭生活の両立を支援し、職場における健康と福祉の向上を目的としています。

キヤノンメディカルシステムズ研究開発(大連)有限公司では、遼寧省の規定に基づき、女性従業員は出産時に158日間の産前産後休暇を取得できます。
さらに同社では、この規定を上回る独自の制度を設けており、第一子出産時には、出産前に2か月間、出産後は子どもが1歳になるまで休暇を取得することが可能です。
また、第二子以降の出産時には、出産前に1か月間の休暇が認められています。

働く女性への支援(社外への支援)
キヤノンメディカルシステムズ USA は、女性史月間に医療分野で活躍する女性たちの功績を称え、無料の認定コンテンツを一般向けに公開しています。

「女性と子どもの未来を支援 ~ザーラ財団への支援を通じた地域社会への貢献~」
ザーラ財団は、家庭内暴力や家族内暴力の影響を受けた女性や子どもたちを支援する、オーストラリアの慈善団体です。
同財団は、経済カウンセリングや教育プログラムを提供し、被害者が自信を取り戻し、経済的に自立して安定した生活を築けるようサポートしています。

キヤノンメディカルシステムズANZは、ジェンダー平等と地域社会の福祉への強い思いから、国際女性デーを記念してザーラ財団を支援しています。

エンジニアリング・インターンシップ
2024年、キヤノンメディカルシステムズANZは、西オーストラリア大学の学生を対象に、2件のエンジニアリング・インターンシップを提供しました。 そのうちの1件は「Women in Engineering」イニシアチブの一環として実施されました。このイニシアチブは、エンジニアリング分野でのキャリアを目指す女性に対し、実践的な業界経験やメンターシップ、専門能力の開発機会を提供し、女性の支援とエンパワーメントを目的としています。

生体医工学修士 アヌシュリー・J・アルン クマール氏
「理工系分野における女性の未来を切り拓く:キヤノンメディカルシステムズとDIMAによるGirls in STEM Day」

キヤノンメディカルシステムズANZは、DIMA(The Diagnostic Imaging and Monitoring Association)と協力し、10年生(コンピュータ技術科)および11年生(工学科)の女子生徒を対象に、特別イベント「Girls in STEM Day」を開催しました。

本イベントは同社のオフィスで行われ、生徒たちは高度な画像診断技術を実際に体験しました。同社のエンジニアや臨床専門家の指導のもと、生徒たちは医療分野、とくに生物医学や画像診断におけるSTEM(科学・技術・工学・数学)の実践的な応用について学びました。

この取り組みは、STEM分野におけるキャリアの可能性を紹介するとともに、従来男性が多かった分野での女性の役割と重要性を強調することを目的としています。

働く女性への支援(社内支援)

「Canon Medical Women’s Network」の推進
キヤノンメディカルシステムズは、性別に関係なく、能力に応じた機会均等と公正な処遇を徹底しています。国内では、女性活躍推進法に基づき、関連法令を活用した行動計画の策定を継続的に進めています。2023年には、女性同士のロールモデルの共有やネットワーキングを通じて、インクルーシブで多様性のある組織文化の実現を目指す「Canon Medical Women’s Network」を発足しました。さらに2024年には、このネットワークがグローバルチームへと拡大しました。

国際女性デーにおける女性リーダーへの表彰
国際女性デーに、キヤノンメディカルシステムズアルゼンチンのジェネラルカウンセルであるエリザベス・ペレイラ氏が、多様な業界の企業で構成されるFEMAPEから、男性主導のビジネス環境における女性としての功績に対して表彰されました。この表彰は、FEMAPEの公式ウェブサイトやSNSでも紹介されています。この評価は、多様性への継続的な取り組みと、リーダーシップにおける女性のエンパワーメントを反映しています。

職場における女性支援活動
キヤノン医療機器(大連)社は、2024年3月に女性の日イベントを開催しました。同社では一週間メッセージアプリを利用して女性従業員に労働法や規則についての教育プログラムを提供しました。
同じ月に、専門スキル、職歴、メンタルヘルス、法的権利など多角的な情報交換を通じて、女性従業員の人間的成長を促進し、職場への適応力を高めることを目的とした「女性従業員のエンパワーメントと育成」と題した勉強会を開催しました。
また、2024年5月には、女性従業員の文化的生活とポジティブな精神を高めるために、スマートフォン写真撮影の専門研修を実施しました。フィールドサービス担当者や管理部門のスタッフを含む合計30人の女性従業員が参加し、女性ならではの視点で美しい瞬間を捉えました。

キヤノンメディカルシステムズマレーシア
職場における男女平等の重要性を理解してもらうため、キヤノンメディカルシステムズマレーシアでは、全従業員に平等を象徴する紫色の服やアクセサリーを身に着けてイベントに参加するよう呼びかけ、男女平等への理解を深めました。

障がい者支援

キヤノンメディカルシステムズは、多様性に基づく持続可能な社会の実現に向けて、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進しています。

多様な人材が活躍する未来社会の実現
キヤノンメディカルシステムズ株式会社では、屋内水耕栽培の野菜農場と連携し、障がいのある方々に新たな雇用機会を創出しています。
2023年には第1農場が、2024年11月には第2農場が新たに開設されました。各農場では、農場長2名と知的または精神障がいのある6名が2チームに分かれて作業にあたっています。スタッフは農場での業務を通じて社会とのつながりを実感しながら、やりがいを持って働いています。
農場で収穫された作物は、キヤノンメディカルシステムズ株式会社 本社の近隣にある「こども食堂」へ寄付されています。これらの野菜は、子どもたちやその保護者、地域住民に無料または安価で提供される食事に使われ、利用者の方々から喜ばれています。

キヤノンメディカルシステムズUKは、てんかんや自閉症の方々を支援する介助動物の選定と訓練を行う慈善団体「サポートドッグス」のスポンサーを務めています。同社は、ブリストル大学と連携し介助犬の導入による医療経済効果の評価を行っており、この研究では、介助犬による個人のメリットと医療サービスのコスト削減について記載されています。

リサ・ライト(従業員)と彼女のサポート犬コナン

外部からの評価(日本)

キヤノンメディカルシステムズ株式会社は、仕事と家庭の両立を希望する従業員に対し、育児支援をはじめとした様々な制度・施策を用意し、従業員一人ひとりの状況に合わせた働き方を選択できるよう支援していきます。次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として、2007年以降、厚生労働省より「くるみんマーク」*1を継続的に取得しています*2

*1:くるみんマーク:厚生労働大臣が「子育てサポート企業」として認定する証。

子育てしやすい職場環境づくりのための計画を策定し、その達成状況等の認定基準を満たした企業に付与されるもので、直近では2021年にくるみんマークを取得しました。

*2:キヤノンメディカルシステムズ株式会社が対象です。

各種認定・表彰制度

キヤノンメディカルシステムズは、グループ従業員の功績を称えるため、様々な認定・表彰制度を設けています。
これらはキヤノンメディカルグループにおいて、活動や製品領域を通じて事業の発展に大きく貢献したグループ内の会社、部門、チーム、個人を表彰するものです。販売や技術・製品開発などで特に顕著な貢献があり、会社の業績に大きく寄与したと認められる場合に表彰する「功績賞」、技能に優れ、後進育成や幅広い技能でモノづくりに貢献した個人を表彰する「技能賞」、永年にわたり、職場内で安全衛生活動の推進に尽力し、安全衛生分野における貢献が顕著と認められる場合に表彰する「安全賞」、専門知識に優れ、事務・技術分野での貢献が顕著と認められる場合に表彰する「功労賞」、そして発明や知的財産活動に貢献した従業員を表彰する「特許表彰」、などがあります。

2024年春には、キヤノンメディカルシステムズ株式会社従業員の川岸哲也氏が紫綬褒章を受章しました。紫綬褒章は、学術研究、芸術・文化などの分野で顕著な功績のあった個人に国から贈られる賞です。

川岸氏は、微分高調波と第二高調波を用いた革新的な超音波診断技術の開発に携わり、従来の超音波技術では観察できなかった体深部の組織の高解像度画像化を可能にしたことが評価され、紫綬褒章を受章しました。

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2024年9月、キヤノンメディカルインフォマティクス株式会社のジェイ・ヴァイシュナヴ氏が、米国薬事専門家協会(RAPS)の「RAPSフェロー・プログラム」において、著名なフェローに選出されました。

このプログラムは、薬事分野で優れたリーダーシップを発揮し、継続的な貢献が見られるリーダーを表彰するものです。フェローに選ばれた方には、「Fellow of RAPS」(FRAPS)という名誉ある称号が授与されます。

フェローは、重要なアドバイザーやメンターとして、戦略的な協力関係の構築や特別な取り組みを推進することで、国際的な規制コミュニティの発展に貢献しています。

受賞者のジェイ・ヴァイシュナ(写真右)

人材育成・成長支援

多様な人材の活躍と成長
キヤノンメディカルシステムズでは、多様な人材が活躍できる組織づくりや教育・啓発活動に取り組んでいます。

グローバル人材の育成
キヤノンメディカルシステムズは、世界中の多くの国と地域にグローバル展開しており、2024年末現在、190の事業拠点を有しています。

人材育成システム(日本)
キヤノンメディカルシステムズでは、階層別教育を実施しています。新入社員から幹部社員まで、キャリアステップに応じた教育を実施しています。加えて、グローバル研修、職種別教育、自己啓発など、多様な研修制度を設けています。

多様なエキスパート育成(営業職)(日本)
「入社3年目までに開業医との商談を完結できる」ことを目標に、様々な研修・教育を実施しています。医学基礎や製品教育に加え、プレゼンテーションや営業交渉ロールプレイングといった営業スキル向上のための研修も導入し、多様なニーズに対応できる営業スキルを習得できます。また、タブレットを活用した学習ツールなどの教育コンテンツも提供しており、空き時間を活用してスキルアップを図ることができます。

多様な専門人材(研究開発職)の育成(日本)
研究開発スキル向上のため、東京女子医科大学や国立情報学研究所での実習に加え、実際の医療現場や最先端研究を体験できる医学・工学系の実習・教育カリキュラムを提供しています。新人エンジニアを長期育成する配属制度など、現場視点を意識しながら最先端の基礎専門技術に基づいた研究開発能力を習得できるよう、入社後からしっかりとサポートします。

多様な専門性を持つ人材(生産職)の育成(日本)
生産職は、研究開発の成果をどのように具体化していくかを考える職種です。そのために必要な知識や部品調達の流れを、実務研修を通して習得します。

各種エキスパート(サービスサポート職)の育成(日本)
サービスサポート職は、点検や修理に携わる職種です。現場で発生しやすいトラブルの種類や、その発生を防ぐ方法など、スキル向上につながる研修を提供しています。

雇用と処遇

キヤノングループの理念
キヤノンでは、国内外のグループ各社が、各国・地域の法令に則った人事施策を実施するとともに、グループ各社と緊密に連携し、全社一体となった取り組みを推進しています。

人材の獲得と維持
キヤノンメディカルシステムズは、持続的な成長を実現するため、事業のグローバル化とイノベーションを推進する優秀な人材の獲得と定着に取り組んでいます。その一環として、採用・配置・育成に関する施策を一貫した方針のもとで連携させています。
2024年度には、キヤノンメディカルシステムズおよび国内外のグループ会社で計683名を採用しました。また、キャリアマッチング制度(社内公募制度)や、育児・介護と仕事の両立を支援する各種制度の充実を図ることで、従業員が高いモチベーションを維持し、長期的に能力を発揮できる環境づくりを進めています。 さらに、従業員エンゲージメントの向上を目的とし、2年に1回実施している従業員意識調査の結果を、経営層を含む各部門にフィードバックし、部門ごとの施策策定に活用しています。
新規採用者数(人) 離職者数(人)
日本/アジア 315 316
オセアニア 30 38
北米 131 182
欧州 190 154
南米 17 25

公正かつ公平な処遇制度
キヤノンメディカルシステムズは、年齢や性別に関係なく、公平かつ公正な人事・処遇を実現するため、職務内容と成果に応じて報酬を決定する「役割給制度」を導入しています。

この制度では、職務の難易度や責任の重さに基づいて役割等級を設定し、それに応じて基本給を決定します。さらに、年間を通じた業績、業務プロセス、行動の評価をもとに総額が決まります。賞与については、個人の業績だけでなく、会社全体の業績も反映されます。

生産拠点における現地人材の雇用
キヤノンメディカルシステムズの生産拠点では、雇用創出を通じて地域社会の社会的・経済的活性化に貢献するため、現地人材の積極的な採用に取り組んでいます。採用にあたっては、現地の最低賃金を大きく上回る水準の賃金を保証しています。

柔軟な働き方の推進

キヤノンメディカルシステムズは、各国・地域の労働慣行を尊重し、それに配慮した柔軟な働き方の推進に取り組んでいます。
たとえば、2005年より厚生労働省のガイドラインに基づく行動計画を策定し、柔軟な働き方の促進、仕事と家庭の両立支援、次世代育成支援に努めています。
また、生産性の向上を目的に、月6回まで利用可能な「在宅勤務制度」や、仕事と家庭を両立しながら効率的に働くことを可能にする「フレックスタイム制度」を導入しています。
さらに、「有給休暇制度」では年間24日を付与し、半日または時間単位での取得が可能なため、誰もが利用しやすい仕組みとなっています。あわせて、全従業員が連続休暇を取得できる「フリーバカンス休暇制度」も設けており、家族との時間や国内外への旅行など、さまざまな目的で活用されています。

有給休暇取得率
2021年実績 2022年実績 2023年実績 2024年目標
78% 81% 77% 80%

キヤノンメディカルシステムズでは、政府が掲げる「2025年までに年次有給休暇取得率70%」という目標を上回る取得率を継続して維持しています。

海外のグループ会社では、育児や介護を担う従業員が安心して働き続けられるよう、「テレワーク制度」を導入し、誰もが活躍できる環境づくりを進めています。これにより、多様な人材が力を発揮できる基盤が整いつつあります。

キヤノンメディカルシステムズコリアでは、ワークライフバランスの維持を目的に、月2~3回、金曜日を4時間勤務とする「リフレッシュデー」制度を導入するなど、柔軟な働き方の推進に取り組んでいます。

「キヤノン」:キヤノン株式会社およびその連結子会社すべてを含むグループ全体を指します。
「キヤノン株式会社」:キヤノン株式会社単体を指します。
「キヤノンメディカルシステムズ」:キヤノンメディカルシステムズ株式会社およびその連結子会社すべてを含むグループ全体を指します。
「キヤノンメディカルシステムズ株式会社」:キヤノンメディカルシステムズ株式会社単体を指します。