Vol. 12:食道癌に対する陽子線治療臨床試験開始

お客様各位、

新型コロナウイルスに対してご尽力されている医療従事者の皆様には、心よりお礼申し上げます。

『今回お届けする情報』
第12回目は、ヨーロッパで開始したPROTECT-Trialについてご紹介いたします。

IBAは8月24日にパートナーと共に重要なクリニカルトライアルを立ち上げたことをプレスリリース致しました。*1
“PTOTECT-Trial:PROton versus photon Therapy for Esophageal Cancer – a Trimodality strategy”は、Horizon2020に登録された食道癌に対する大規模多施設ランダム化比較臨床試験です。*2
この臨床試験は、患者の陽子線治療へのアクセス改善を目的として、食道癌のPTOTECT-Trialを実施すると同時に、癌における陽子線治療使用に関するモデルベースのアプローチをより広く検証します。19のパートナーとの協力で立ち上げたこのコンソーシアムの一員として、IBAはこのプロジェクトをサポートしています。

PROTECT-Trialでは、食道癌に対する陽子線治療とX線治療のランダム化比較試験であり、ヨーロッパ8か国にまたがる12の陽子線センターで構成されています。罹患率が高く、所見を他種のがんに拡大できる可能性があることから食道癌が選択されました。
IBAは陽子線治療ソリューションに関する専門知識を提供し、計6施設のIBAユーザー(PROTEUS® ONEユーザーを含む)がこのトライアルに参加します。2027年までに約400名の患者に対するトライアルの研究が完了する予定です。
全ての陽子線センターは、ペンシルビームスキャニングやVolumetric Image Guidanceといった最新の機能を有しており、Trimodality (放射線治療、化学療法、外科療法) Treatmentで使用された場合について、陽子線治療とIMRTとが比較されます。
エンドポイントは下記を予定されています
―治療に関する心肺毒性の軽減
―局所または領域の腫瘍制御とpCRの増加、および線量増加の影響
―無病、または、全生存期間の延長

このトライアルでは同時に医療経済学的な側面からも陽子線治療の適応について研究される予定で、食道癌以外のがんについてもどの予測モデルが適しているかというコンセンサスを得ることも目的のひとつとしています。ポジティブな結果の場合には、今後の陽子線治療の適応に大きな影響を与えることになると期待されています。

「陽子線で治療される患者数は増加していますが、大規模な多施設共同試験がないため、その有効性を裏付ける臨床的証拠はかぎられたままです。様々ながんの適応症に対する陽子線治療の潜在的な役割を決定し、最も適切な適応症についてヨーロッパ全体でコンセンサスを得ることが出来るようにするために、多施設共同治験からの高品質なエビデンスが非常に必要です。」*3

*1:https://mailchi.mp/iba-group/iba-press-release-iba-reports-full-year-2018-results-591333?e=c07c4fdc1b
*2:https://cordis.europa.eu/project/id/101008134
*3:https://cordis.europa.eu/programme/id/H2020_IMI2-2020-20-05

*記事内の製品に関する薬機情報は以下の通りです。

製造販売業者:セティ株式会社
一般的名称:粒子線治療装置
販売名:陽子線治療装置ProteusONE
承認番号:22800BZX00441000
製造業者:Ion Beam Applications S.A.(ベルギー)

製造販売業者:セティ株式会社
一般的名称:加速装置用電動式患者台
販売名:プロテウスカウチ
届出番号:13B1X10019100001
製造業者:Ion Beam Applications S.A.(ベルギー)