第52回日本救急医学会総会・学術集会 in 仙台
ランチョンセミナー 8

「AIがもたらす救急医療のイノベーション」
~ビッグデータとAIで外傷診療の最適化に挑む~


日時 2024年10月13日(日)12:50~13:50
会場 第11会場 仙台国際センター展示棟1F 会議室2
共催 第52回日本救急医学会総会・学術集会
株式会社MeDiCU/キヤノンメディカルシステムズ株式会社
本セミナーは整理券制です。当日セミナー分のみ下記日程で配布致します。
●配布場所:仙台国際センター 展示棟 ホワイエ
●配布日時:10月13日(日) 9:00~12:20 (整理券はなくなり次第、配布を終了と致します)

演者:木下 喬弘 先生(株式会社 MeDiCU)
セミナーテーマ
「AIがもたらす救急医療のイノベーション」
~ビッグデータと AI で外傷診療の最適化に挑む~
(演者ご略歴)
2010年 大阪大学医学部卒業
2019年 フルブライト奨学生
2020年 ハーバード公衆衛生大学院卒業(卒業賞)
2020年 Philips Research North America
2023年 株式会社MeDiCU設立
現在に至る

セミナー概要

救急初療室内にAngio-CTを設置したハイブリッドERは、救急初期診療において必要な「検査」と「治療」を1つの部屋で完結できる画期的な救急初療システムとして、世界中で注目を浴びている。搬送後すぐに全身CTで損傷部位を同定し、手術や血管内治療をシームレスに行うことで、一刻一秒を争う救急疾患のワークフローを劇的に改善することができる。特に、外傷初期診療においては、根治的治療までの時間を大幅に短縮し、救命率を改善することが多数の文献で示唆されてきた。これに加えて、近年は病院外心停止に対するECMOの導入や、腹部大動脈瘤破裂に対する止血処置など、手術やカテーテル治療が有効な循環不全に対する治療成績の報告も増えてきている。

では、ハイブリッドERが救急初期診療の課題を全て解決したかというと、決してそのようなことはない。ハイブリッドERシステムを使うからこそ、絶え間なく全身状態を把握し迅速に意思決定を行うことが求められるため、「巧みの技」の必要性はむしろ増すばかりである。限られた人的資源の中で、全身管理、画像読影、手術、血管内治療などあらゆる介入に関する戦略立案を正しく行うことは決して容易なことではない。

例えば血管内治療で止血を試みている外傷患者において、徐々に循環動態が不安定になってきた時に手術に移行すべきかどうかという判断は、「その患者の心停止のリスクがどの程度高いか」に依存する。データを元にして少し先の未来を予測するのは、AIが最も得意とするところである。ハイブリッドERのように診療密度が高い医療現場でこそ、AIを活用した臨床意思決定支援が重要なのである。

本講演では、ハイブリッドERの開発と研究の歴史を振り返り、現状の課題を明らかにした上で、データを活用した医療AIの開発と実装に向けた取り組みについて紹介する。