新井係長はCatalyst HDを用いた放射線治療のメリットについて、「リニアック1台あたり1日30人近くの治療を行いますが、人間の集中力には限界があります。その中でCatalyst HDの、患者さんの状態をずっと監視している“もう一つの目”がある安心感は大きいですね」と述べる。
2018年度の診療報酬改定では、“体表面の位置情報”を用いたIGRTの加算(150点)が認められ、DIBHについても左乳がんが新たに追加された。白石教授は、「DIBHが拡大するきっかけになる」と期待するが、一方でDIBHは治療時間がかかることが課題で、今後、精度の向上と同時に効率化が求められる。放射線治療品質管理室の熊谷 仁物理士は今後について、「DIBHは患者さんの負担が大きいので、治療計画を含めてできるだけ治療時間を短縮できるように精度の検証などに取り組んでいきたい」と述べる。現在、位置合わせは、皮膚マーカーとリニアックグラフィも併用しているが、精度保証や技術の向上が進めば、マーカーレスでCatalyst HDのみのセッティングも可能になると新井係長は言う。「現状でもマーカーの数は確実に減っていますが、Catalyst HDのみで位置合わせができれば、時間短縮も期待でき、患者さんの負担軽減にもつながります」
白石教授は今後の方向性について、「SIGRTを用いた照射は始まったばかりで、今後、乳がんだけでなく体表面の情報収集というメリットを生かして適応を広げられるように検討を進めます。乳腺の放射線治療については、IMRTを含めてさまざまな照射方法を取り入れて高精度で信頼性の高い治療を提供するべく、全体のレベルアップを続けていきます」と展望した。
(2019年3月15日取材)
関連情報
| 一般的名称 | 線形加速器システム |
| 販売名 | Versa HD リニアックシステム |
| 承認番号 | 22600BZX00282000 |
| 製造販売元 | エレクタ株式会社 |
| 一般的名称 | 放射線治療情報照合プログラム |
| 販売名 | MOSAIQ オンコロジーインフォメーションシステム |
| 承認番号 | 23000BZX00180000 |
| 製造販売元 | エレクタ株式会社 |
| 一般的名称 | 放射線治療装置用シンクロナイザ |
| 販売名 | Catalyst システム |
| 承認番号 | 22600BZX00453000 |
| 製造販売元 | エレクタ株式会社 |