超音波診断装置をフル活用しスポーツ医療を通じて地域に貢献する

齋田 良知 先生  
いわきFCクリニック 院長 / 順天堂大学 整形外科 スポーツ診療科  
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齋田良知先生は、サッカークラブいわきFCのチームドクターとして選手へのメディカルサポートを行うとともに、スポーツ整形外科医として地域医療にも取り組んでいる。昨今、スポーツ障害の予防や早期発見に超音波診断装置(以下、エコー)の有用性が注目されており、齋田先生もオーバーユース、その他スポーツ障害の早期発見や、外傷の迅速診断にタブレット型エコーViamo sv7を活用されている。その実際について伺った。


整形外科医に求められるスポーツ障害の早期発見
 

ー スポーツ整形外科医として、普段どのような活動をなさっているのでしょうか。

2017年より、サッカークラブいわきFCのチームドクターとして、選手へのメディカルサポートを行っています。また、順天堂大学での診療を続けながら、2019年1月からは、いわきFCパーク内に開院したいわきFCクリニックで週1回の診療を開始しました。あわせて、いわきサッカー協会1の医事委員長として、いわき市の中高校生のスポーツ障害予防にも携わっています。
私自身、学生時代にサッカーを行っており、その間ケガには大変悩まされました。そこで、将来はスポーツ医療を通じて地元いわきに貢献したいと思い、整形外科医を目指しました。今、夢が実現してきたところです。

ー サッカーによる外傷・障害にはどのようなものがありますか。

サッカーでは、走る以外にも蹴る動作により膝、股関節、足首などに外傷や障害が頻発します。
サッカー選手の障害として特徴的なものには、第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折)があります。これは足部外側に過度の負荷が繰り返し加わることで発生する、オーバーユースに起因する障害です。オーバーユースは本人ではなかなか気づきにくく、また、疲労感や違和感に気づいても、サッカーのようなチーム競技では、つい皆と同じトレーニングを行ってしまいがちです。
ですから、スポーツ整形外科医には、早い段階で障害の予兆を発見することや、オーバーユースが懸念される選手が早めに休んだり、個別のトレーニングをしたりできる環境づくりが求められます。そのために、選手には、スマートフォンで自己管理ができるウイークリーチェックを行ってもらっています。これは、筋力や柔軟性などを数値化し、過去の自分の平均値と比較することで、トレーニングの量や種類を調節できるようにするアプリケーションです。また、エコーなども利用した検診を定期的に行い、障害の早期発見に努めています。


試合中や練習中の負傷の迅速診断に必要不可欠なエコー
 

ー エコーを診断に取り入れられたきっかけについて教えてください。

エコーを診断に取り入れたのは、ジェフユナイテッド千葉でチームドクターをしていた2013年ごろです。スポーツ現場で求められる迅速な診断に有用ではないかと思い、導入しました。エコーの使用経験があまりなかったので、苦労もしましたが、試合中や練習中の負傷に対して、病院への搬送治療が必要かどうかなどを素早く判断できるようになり、大変助かりました。
当時は、ノートパソコン型のエコーを使っていましたが、現在いわきFCクリニックでは、より携帯性・機動性に優れたタブレット型エコーViamo sv7を使用しています。

ー エコーの利点を具体的にお聞かせください。

▶▶患部の可動観察が可能
X線検査では診断できない軟部組織や靭帯の損傷にエコーは力を発揮します。
また、患部を動かしながらその場で検査できるのがエコーの最大の利点です。例えば膝靭帯損傷の不安定性の評価では、MCL(膝内側側副靱帯)の不安定性を、ストレスをかけながら診ることができます。

▶▶経過観察に有用
エコーはMRIやX線に比べ、被ばくもなく、費用も安価で手軽に行えますので、経過の画像を頻回に撮ることができます。例えば、初診時にMRIとエコーを撮っておき、1週後、2週後はエコーだけ、3週後にまたMRIとエコーを撮る、といったかたちで詳細な経過観察ができます。

▶▶正確なインターベンションが可能
鎮痛のための注射や多血小板血漿(PRP)による治療は、狙った部位に正確に穿刺することが重要です。エコーを使えば穿刺部位を確認できるので、インターベンションテクニックの向上にも有用だと感じています。

▶▶携帯性に優れたタブレット型
Viamo sv7は、コンパクトで軽く、持ち運びが可能です。練習中に負傷した選手がいた場合、選手をクリニックに連れて来るよりも、私がViamo sv7を持ってグラウンドに走ったほうが、素早く診断できるといったケースもあります。まさにPOCT(Point Of Care Testing:患者の身辺での検査)の実践です。
遠征試合にも持っていきたいので、チーム用にもう1台欲しいところです。

▶▶早い起動で、迅速な診断が可能
Viamo sv7は起動が早いので、使いたいときに即使えるのも利点です。画質も良く、フルタッチパネルで操作性も良いと思います。カメラ機能も付いていますので、エコー画像とあわせて損傷部位の画像も撮影・保存できるのは便利です。


アスリートのみならず幅広い年齢層に必要なスポーツ医療
 

ー スポーツ医療はこれからどのようになっていくとお考えですか。

いわきFCクリニックでは、選手だけでなく地域住民の方たちのスポーツ整形外科診療も行っています。近年、健康増進意識の高まりから、長くスポーツを楽しみたいという方が増え、スポーツ医療は、一部アスリートだけではなく、お子さんからご高齢の方まで幅広い人たちに必要なものとなってきました。このような状況下、エコーによる検査は、診察室ですぐに行え、被ばくもなく、かつ有益な情報が得られますので、今後大いに利用していきたいと思っています。
エコーは、腹部の検査や妊婦の検診などには広く活用されていますが、運動器の診断にも有用であることは、まだあまり認知されていないように思います。海外では、エコー技師が細分化されており、筋肉を専門に検査するスペシャリストもいるほどです。日本でもスポーツ医療におけるエコーがもっと普及し、またスペシャリストが育っていって欲しいと思います。スポーツ医療には地域格差など課題もありますが、エコーの普及はそれを解消する手段の1つにもなるのではないかと期待しています。
医学もエコーも日進月歩ですが、今後も学び続け、スポーツ医療を通じて地域に貢献していきたいと考えています。
齋田 良知 先生
いわきFCクリニック 院長
順天堂大学 整形外科 スポーツ診療科


2001年 順天堂大学医学部卒業/ 順天堂大学医学部 整形外科・スポーツ診療科に入局
2009年 順天堂大学 整形外科 助教
2018年〜 順天堂大学医学部 講師(膝、スポーツ整形外科)
2019年〜 いわきFCクリニック 院長
2002〜15年 ジェフユナイテッド千葉 チームドクター
2010〜15年 女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)帯同ドクター
2015年 AFC(アジアサッカー連盟)/Young Medical Officer Award受賞
2015〜16年 イタリアACミランにフェローシップとして留学
2017年〜 いわきFCチームドクター
日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツ医

※ 先生の所属は掲載当時のものです。