ファイリングシステムを活かした文書、画像データの一元管理で、10 年後でも円滑に運用できるシステムを

大阪府箕面市の白藤診療所は開院を機に、キヤノンメディカルシステムズ社製の医事会計・電子カルテ一体型ファイリングシステム「TOSMEC Aventy 3.0」、一般X線撮影装置「MRADA25SRADREX」、デジタルラジオグラフィ(DR)「CXDI-710C Wireless」、超音波診断装置「Xario 200G」を導入した。「TOSMEC Aventy 3 .0」を中心に、主要装置が同社製で固められて互換性が飛躍的に向上し、滑らかな連動を可能にする院内ネットワークが構築された。性能の優秀性、導入の経緯、使用経験について、白藤達雄院長にお話を伺った。
白藤 達雄 院長

予定になかった開業再開

白藤院長は箕面市に生まれた。昭和大学医学部卒。大阪医科大学大学院を修了し学位取得後、麻酔科学の助手・講師として、同大に務めた。1991年に大阪府高槻市で診療所を開業し、独立。同時に大阪医科大学麻酔科非常勤講師後に臨床教育教授も併任した。「65歳で仕事に区切りをつけ、悠々自適の生活を送りたい」と開業から28年後の2018年、診療所を後進の医師に譲り、医療の現場から身を引いた。海外旅行を重ねるなどし、老後を満喫していたが、次第にのんびりとした暮らしに物足りなさを感じ、現場復帰の意欲が高まり、再スタートを決断した。
新しい診療所の候補地探しをしていたところ、「ふるさと・箕面」の中心商店街の光景が目に留まる。日中でもまばらな人通り。シャッタを下ろした店。地元経済の地盤沈下が進んでいた。医療機関も人口の割に少なく、医療過疎の問題にも直面していた。「人生最後の奉公として、地元の医療を支えよう」と箕面駅前の商店街の一角に「白藤診療所」を構えた。

10年後を見据えた機器選定

白藤診療所の開院は2020年6月。ペインクリニックをはじめ、整形外科・外科・リウマチ科の診療科を置く。外来患者は1日当たり約35人。このうち7割をペインクリニックの患者が占める。一般X線撮影装置の稼働は1日8~10例、超音波診断装置は月に数例だという。スタッフは白藤院長のほか、看護師5人、受付職員2人で診療にあたる。
「TOSMEC Aventy 3 .0」はさまざまな文書、画像データを集約するファイリング機能を持ち、「MRAD-A 2 5S RADREX」、「CXDI- 7 10CWireless」、「Xario 200G」など各装置をネットワークで結び、一元管理する。医事会計・電子カルテシステムから各装置に患者情報を送信するMWM機能を有し、シームレスで円滑な検査、診察を可能にする。画像はビューワで確認でき、情報を患者と共有できる。タブレット端末を使えば、リモートで電子カルテを見ることができ、往診先でも患者情報を把握できる。
白藤院長は「各種画像データが診察室に即時送信され、院内を移動せずに診察にあたることができる」と連動性を評価する。また「電子カルテとファイリング機能が融合されているため、電子カルテデータと画像データの境目を意識することなく患者と一緒に閲覧できる」と利点を挙げる。
各装置の選択基準について、白藤院長は「10年後を見据えた」と語る。医療機器・装置の性能は日進月歩。デジタル化の進展で、紙カルテやX線フィルム、そしてCRがあっと言う間に過去のものになったのは記憶に新しい。白藤院長は「この診療所を次の世代につなげたい。継承者も使えるように将来的に通用する最先端の機器・装置を備えたかった」と話す。「使用経験もありキヤノン一択で、他社製品と比較検討することもなかった」と惚れ込んでいる。

歴史を受け継ぐ信頼性

※広角レンズにて撮影
「MRAD-A25S RADREX」は快適な操作性と高感度、高画質を誇る旧東芝メディカルシステムズ社製の一般X線撮影装置を引き継いでいる。白藤院長はかつての開業医時代から同社機器の性能の高さに信頼感を寄せていた。2016年に同社はキヤノングループ入りし、2018年にキヤノンメディカルシステムズに社名を変更したが、使い慣れていることも相まって今回も迷わず同社を選択した。「CXDI-710C Wireless」は軽量で撮像画像をすぐに確認できることからシームレスで円滑な運用を期待して導入しており「運用性の良さや画質の良さだけでなく、画像の補正機能が優秀で、撮影を失敗しなくなった」と使用感の良さを強調する。
超音波診断装置は近年、ペインクリニック分野において、神経ブロックや関節内注射を患部にピンポイントに誘導するのに有効だとして、活用頻度が増している。「Xario 200G」は独自の技術である「Superb Micro-vasucular Imaging」(SMI)を搭載しており、臓器内の微細な血流を表示できたり、関節の軟部組織を精密に視覚化できたりする。白藤院長は「正確な治療をするために正確な診断をすることが何より大事だと考えている。その点でSMIを使えば関節リウマチの治療をするにあたって正確な診断ができる」と有用性を認める。
※広角レンズにて撮影

アフターケアにも好感

白藤院長は同社の担当者の対応にも好意的な印象を持っている。「キヤノンは社風が優しい」と言い、営業マンの熱心さ、アフターサービスの手厚さを評価する。自称「『超』の付くアナログ人間」。「デジタル機器は苦手どころか逃げ回っていた」といい、前の開業医時代には医療装置は必要最低限にとどめ、もっぱら紙カルテなどアナログ系で通していた。「最新鋭の装置を導入しても操作がちんぷんかんぷん。サービス部門の担当者にその都度電話し、『分からんから、すぐ来て』とSOSを出しても、嫌な顔一つせずに駆け付けてくれる」とねぎらう。社員のきめ細やかな対応は医療機器部門にとどまらず、複合機やカメラの部門を含め、キヤノングループ全体に感じていたという。「欧米流のドライな契約社会の風潮が広まる中、古き良き『ニッポンの企業』らしさを保ち続けてほしい」とエールを送る。

医療はサービス業

白藤院長は自身のことを「生中(なまちゅう)ドクター」と呼ぶ。「居酒屋での『とりあえず生ビール』と同じように、とりあえず困ったことがあれば一度試しにいらっしゃい。きっと何か違った先が見えるかもしれないよ」と患者に呼び掛ける。「スペシャリストであると同時にゼネラリストでありたい」と、専門の麻酔科学の分野を基盤に、幅広く豊富な医学的知見を持つ。「一つの病気も複合的な要素が絡むから、総合的な見地で診察しなければならない」と語る。ほかの医療機関では解決せず、困り果てて「駆け込み寺」のように来院する患者も少なくないという。
「患者とともに悩み、苦しむ」が信条だ。「先生にお任せ」と医師に依存する患者には、当事者意識を持たせて病気に立ち向かわせようと、時に強い言葉で自覚を促す。
これから開業を目指す若い医師に対しては、「ほかの先生がやりたくないことをやりなさい」とメッセージを送る。「医者は患者が困っている時にいるからこそ価値がある。『診療時間が過ぎたから、明日来て』では務まらない」。患者に自身の携帯電話の番号を伝え、365日24時間体制で対応し、「有言実行」を実践する。「医療は紛れもなく、サービス業だ」と言い切る姿には、「患者ファースト」を貫く強い意思が感じられる。

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白藤診療所
〒562-0001 大阪府箕面市箕面6-4-46
みのおメイトビル101
TEL:072-737-8910

映像情報メディカル 2022年3月号掲載
一般的名称 販売名 認証番号
汎用画像診断装置ワークステーション用
プログラム
汎用画像診断ワークステーション用プログラム
RapideyeCore SVIW-AVLE01
227ADBZX00059000
据置型アナログ式汎⽤X線診断装置 一般X線撮影装置 MRAD-A25S RADREX 224ADBZX00120000
X線平面検出器出力読取式
デジタルラジオグラフ
デジタルラジオグラフィ CXDI-710C Wireless 229ABBZX00020000 
※製造販売元キヤノン株式会社
汎用超音波画像診断装置 超音波診断装置 Xario 200G CUS-X200G 230ACBZX00007000
2022年7月1日を持ちまして、TOSMEC Aventyは、エムスリーソリューションズ株式会社に譲渡されました。