フィールドで迅速な検査を可能にする、選手を支える超音波診断装置

羽田 晋之介 先生  
キヤノンイーグルス / 順天堂大学 整形外科 スポーツ診療科  
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羽田晋之介先生は、整形外科医としてスポーツ医療に携わり、ジャパンラグビートップリーグで戦うキヤノンイーグルスのチームドクターとして外傷・障害をはじめ選手のケアにあたっている。昨今、スポーツ医療の現場で、診断の迅速性、利便性などから超音波診断装置(以下、エコー)による診断が注目されている。羽田先生は、さらに携帯性にも優れるタブレット型エコーViamo sv7を用いて診療をされている。その活用の実際について伺った。


入団時から、練習・試合まで選手生活をトータルにケア
 

ー キヤノンイーグルスのチームドクターとして、普段どのような活動をなさっているのでしょうか。

入団時のメディカルチェックから、普段の練習や試合中の負傷対応、診断、治療、手術、リハビリ計画の作成などトータルに選手のケアを行っています。また、病院だけではなく、現場に足を運び、平日に週一回と休日の試合の際にチームに参加しています。
ラグビーのようなコンタクトスポーツでは、骨折や脱臼、靭帯損傷、脳震盪の頻度は他競技と比べて非常に高く、部位として多いのは頭部、顔面、頸椎から肩、膝、足首、手指、時には内臓など、多岐にわたりますが、現場のドクターとしては全てを診なくてはなりません。


スポーツ現場での迅速な診断に活躍するエコー
 

ー スポーツドクターとして、エコーをどのように活用されていますか。

スポーツの現場で外傷が発生しやすいのは、試合中です。トップリーグでは毎週のように試合がありますので、負傷があれば一刻も早く治療プランを立て、どれだけ早期に、良い状態で復帰させることができるかが重要です。試合はもちろんですが、我々チームドクターにとってはそれがもう一つの勝負となります。そのためにまず重要なのは、迅速かつ正確な診断です。エコーは機材さえあれば、被ばくもなく、瞬時に患部の可視化が可能であり、スポーツによる負傷の迅速診断に大変有用です。画像を確認しながらの説明は、体を資本とする選手たちへの説得力も持ちます。キヤノンイーグルスのホームグラウンドには、以前より据え置き型のエコーがあり、練習時やホーム試合ではPOCT(Point OfCare Testing:患者の身辺での検査)を実現していました。しかし、遠征先や試合会場に持ち運びができるエコーが欲しいと思っていました。
 現在は、タブレット型エコーViamo sv7を使用しています。Viamo sv7を初めて見たときは「まさにこれが欲しかったんだ」と感激しました。持ち運びができる大きさ・重さでありながら、据え置き型と比べても遜色のない高画質で機能も充実しています。実際も、想像通りの使い勝手で試合後のメディカルチェックに大活躍しています。

ー エコーの利点を具体的にお聞かせください。

▶▶炎症と動的診断に強み
エコーの利点のひとつは、炎症所見と動きがリアルタイムで見え、患部の(不)安定性も確認できます。
外傷では肉離れや、足関節捻挫、膝の靭帯損傷、手指の骨折などによく使用しています。障害ではアキレス腱や膝蓋腱の炎症や動き、肩の腱板、各関節の変形や軟骨摩耗の確認にも有用です。体位を変えながら見ることができ、治療上有益な多くの情報が得られます。
最近は、理学療法士がエコーを用いてリハビリの経過を確認する施設も増えています。これも大変有用だと思います。膝のエコーは研究発表も増えていますので、今後さらに進んでいく分野だと思います。
▶▶ 治癒状況の確認
骨折では転位や不安定性の評価が大事なのですが、エコーで見ながら力を加えて骨の動きを確認できるので、リハビリ計画を早めるか、遅らせるかなどの判断にも役立ちます。X線では見えない軟部組織の再生も部位によってはMRIを必要とせず確認することもできます。

▶▶ 正確な穿刺で確実な治療
外傷・障害に対する注射は、正確に患部に注入することで最大限の効果が生まれ、早期復帰をサポートすることができます。
最近、スポーツ障害・外傷の治療の選択肢の1つとして、再生医療の多血小板血漿(PRP)による治療が行われるようになりました。我々もPRP治療を数多く行っていますが、確実に損傷組織に注入し最大限の効果を得るために、治療補助としてもエコーは非常に有用です。

▶▶ データ保存で経過を確認
Viamo sv7はデータの保存・管理も容易です。保存することで、治癒やリハビリの経過がたどれますし、MRI画像や症状の写真と対比するといった使い方もできますので、フル活用していきたいと思っています。

▶▶ 長時間使用可能
Viamo sv7は、フル充電で約3時間使用可能なバッテリーが内蔵されていますので、試合前後の使用時間を含めても十分です。シーズン中、試合が続くと充電を忘れてしまうことがあるのですが、給電しながらの使用も可能ですので助かっています。
* 使用環境の条件によります。

ー これまでのご経験で、最も「エコーがあって良かった」と思われたのは、どのようなときでしたか。

試合中に腓骨を傷めた選手がいました。プレーもしばらく継続でき、歩行もできており、試合が終わったのも夕方で、スタジアムから所属病院まで距離がありましたので、従来であれば翌日に来院してもらいX線で確認という流れになっていた可能性もありました。しかし、Viamo sv7を使用しロッカールームで瞬時に腓骨骨折の確定診断を下せたため、その瞬間から超音波骨折治療器、高気圧酸素治療の 手配を行い、迅速な治療を開始することができました。
負傷後、早期に治療が開始できるかどうかは、回復期間に大きく影響します。1日の治療開始のずれが、最終的に数週間の回復の遅れにつながることはままあります。シーズン中の数日、数週間は、選手個人としてもチームとしても本当に大きいです。エコーによる迅速な診断と早急な治療開始が、回復期間の短縮に繋がった印象深い症例でした。


エコーは検査の第一選択へ。そして、1人1台の時代に
 

ー 今後エコーはどのように使われるべきとお考えですか。

今後エコーは、検査方法の第一選択となり得ると思います。私はキヤノンイーグルスのチームドクターのほかに、格闘技のリングドクター、病院での診療も行っていますが、施設によってエコーが無いことや、運動器用のプローブが無いことはよくあります。また、機器が変わると検査の感度も変わり、評価が異なってしまう懸念があります。スポーツ選手の診断は正確性とスピードが大切です。いつでもどこでも迷わずに同レベルの検査・診断を行うためのツールとして、タブレット型エコーのViamo sv7は、エコーを施設に1台ではなく、1人1台持つ。そんな未来の先駆けとなるものとして期待しています。
羽田 晋之介 先生
キヤノンイーグルス
順天堂大学 整形外科 スポーツ診療科


2009年 東邦大学医学部卒業
2011年〜 順天堂大学医学部附属順天堂医院 整形外科勤務
2013年〜 キヤノンイーグルスチームドクター
2016年〜 順天堂大学整形外科・スポーツ診療科 助教
2016年〜 東京労災病院整形外科 出向
2018年〜 多摩南部地域病院整形外科 出向中
医学博士、日本整形外科学会整形外科専門医、日本スポーツ協会公認
スポーツドクター、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会認定
健康スポーツ医、Pre Hospital Immediate Care In Sport Level2、
RIZIN FIGHTING FEDERATION 医療部副部長

※ 先生の所属は掲載当時のものです。
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Viamo sv7 US-VSV7
認証番号 229ACBZX00025000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Aplio i900TUS-AI900
認証番号 228ABBZX00020000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Aplio i800TUS-AI800
認証番号 228ABBZX00021000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Aplio i700 TUS-AI700
認証番号 228ABBZX00022000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Aplio i600TUS-AI600
認証番号 229ABBZX00013000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Aplio a550CUS-AA550
認証番号 230ABBZX00019000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Aplio a450CUS-AA450
認証番号 230ABBZX00018000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Xario 200G CUS-X200G
認証番号 230ACBZX00007000
一般的名称 汎用超音波画像診断装置
販売名 超音波診断装置 Xario 100GCUS-X100G
認証番号 230ACBZX00006000