循環器内科専門医として研鑽を積んだ
超音波診断装置を活かす

埼玉県川口市に、「しば内科・循環器内科クリニック」はある。駅から徒歩圏内に位置しており、大きな桜の木が目印だ。総合内科専門医の資格を持つ、柴 正美 院長は開業当初よりエコーを導入して専門性の高い検査を行っている。開業医として専門病院と連携しつつ、総合内科医として地域の住民を診続ける柴院長にお話を伺った。
柴 正美 院長

母親の死因を調べる

柴院長は新潟大学医学部を卒業。研修医を終えると、新潟大学第一内科循環器班へ入局する。大学院では不整脈についての研究を進め、遺伝性不整脈疾患について論文を書き医学博士号を授与されている。循環器内科医として県立病院や総合病院などで勤務。その後2020年5月7日、川口市に「しば内科・循環器内科クリニック」を開設した。昔から親戚が住んでいたことから土地勘があり、川口という地を選んだという。また、エコー検査はできる医師とできない医師がいることから、病院の助けになればという思いも開業の一因だ。
柴院長が医師を目指した背景には母親の突然死があった。柴院長の母親は心房中隔欠損症を罹患していた。開心手術を受けるも術後2日後に昏睡状態となり、意識レベルが低下。一時は自宅退院できるまでになったが、術後6年後の朝に亡くなった。母親の死因を知りたいと思い、柴院長は医師を志した。
柴院長が、医師の基本を培ったのは医局だ。卒業後仮入局した第二内科では、当時の荒川正昭教授から「病気を診るのではなく、患者全体をみなさい」と指導された。その言葉は今も柴院長の胸に残っており、正しい診断のために患者の話を聞く姿勢を大切にしている。診療は聴診から始まり、必要があればエコー検査やホルター心電図検査を行う。エコー検査で得られた映像や情報は診療室で患者へ説明するだけでなく、紙に書いてわかりやすく説明している。レポートは後日渡しているが、病院のレポートに負けないレベルのものを作成している。

スムーズな検査を実現する『キヤノンメディカルシステムズ社製』

「正しく診断する」という、当たり前だが難しいこの問題を解決するために、柴院長はキヤノンメディカルシステムズ(以下、キヤノンメディカル)社製の画像診断装置を使用している。一般X線撮影システムで採用しているのは『R-mini』だ。検査に十分な機能を搭載しているにも関わらず、設置スペースはコンパクトとなっている。テナントなど限られたスペースで開業しようと考えている場合、コンパクトな設計は嬉しいのではないだろうか。実際に柴院長が開業する際、X線室を当初の設置予定場所から変更したが、このような臨機応変な対応ができたのは、『R-mini』の設置スペースがコンパクトであったことが大きい。また、「キヤノンメディカルの川崎のショールームへ行き、装置の大きさなどを確認できたことで、自院のイメージができたのは助かりましたし、物を見ないとわからないことなども丁寧に説明してもらいました。」と開業準備期間中の思い出を話してくれた。
稼働装置の中で柴院長が気に入っているのが、『R-mini』と相性が良いDR(デジタルラジオグラフィ)の『CXDI-710 C Wireless』だ。従来の半切カセッテと比べて軽量な約2 .3 kgで、女性スタッフでも持ちやすい。パネル本体にも画像を保存する機能が搭載されており、電波が不安定な状況下でも撮影できる。また、X線自動検出モードがあるので在宅医療などの現場でも応用されている。
DRは柴院長が勤務していた病院で導入されており、撮影後すぐに高画質なデータがモニタに表示されることに驚いたという。DRを導入したい柴院長の強い思いは、X線撮影システムも同一メーカにすることでパフォーマンスが上がるという経験値からキヤノンメディカル社製品で統一した。「今後開業する先生方はキヤノンメディカルのX線撮影システムとDRを採用することをお勧めします」と柴院長も太鼓判をおす。

循環器内科として外せない高画質な超音波診断装置

そんな柴院長が最も診療で使用するのが超音波診断装置『Aplio a/ Verifia』だ。開業するにあたり絶対に外せなかったと話すほど信頼を置いている。以前の機種と比較して、高画質になった点や小型改良された点なども評価している。「使いこなせていないほど多機能になりました。ひと昔前では、エコー検査で見つからなかった、僧帽弁前尖の腱索断裂なども高画質になり今では普通に見えるようになっています」。
クリニックでは、高血圧や脂質異常症の患者へ積極的にエコー検査を実施している。他にも中学校や高校の学校健診で心電図異常を指摘された患者へもエコー検査を実施しており、必要があれば専門病院へ紹介するようにしている。実際、クリニックから先天性二尖弁の大動脈弁狭窄症と重度大動脈弁閉鎖不全症の2例を心臓血管外科へ紹介した実績がある。それぞれ、大動脈弁置換術・大動脈弁形成術の処置後、患者は当クリニックへ戻り、内服治療を継続しているそうだ。柴院長は「現在は心エコー検査を中心に、頸動脈エコー・腹部エコー検査を行なっているが、将来的には下肢静脈エコー検査も実施したい」と語った。

装置間連携と感染症対策を考えたクリニック作り

柴院長は、医事会計/電子カルテ一体型システム(画像ファイリングモデル)『TOSMEC Aventy3 .0』も導入している。開業準備段階で電子カルテについては3メーカほど候補に上がっていたそうだが、各種診断装置とシームレスな連携ができる点を評価し、同一メーカで採用することにしたという。X線で撮影された画像やエコー検査の動画像は画像ファイリングシステムで共有され、電子カルテ上へタイムリーに反映される。検査結果はもちろん、電子カルテ情報が一つのサーバへ一元管理されることも評価していた。当クリニックでは電子カルテで管理され、患者の自己負担額が確定すると自動精算機へ案内される。感染症対策が重要な時代の開業だからこその導入といえるだろう。実際にキヤノンメディカル社製装置を導入してみて「医療機器は故障などトラブルがないに越したことはないが、機械なので仕方がないです。実際、開業当初はトラブルがありました。でも、キヤノンメディカルに連絡すればその日のうちに来てくれるため、アフターフォローは満足しています」と笑顔で話す柴院長が印象的だった。

疾患だけでなく患者本人を診る診療スタイル

母親の死因を究明するという思いだけで、医師となり研究に励んだ柴院長。勤務医時代、歴任した病院の中に済生会川口総合病院がある。そこで、自分の母親と同じような発作を起こした患者を治療した。「その患者さんの治療を通じて、母親がなぜ突然死亡したのか原因が少しわかった気がする。この出来事が少しでも母親への供養になるのかと思います。」と話す柴院長の目は少し潤んでいたように思える。
柴院長は自分が心臓疾患で家族を亡くした経験から、一人でも多くの人を心臓疾患から救いたいと願っている。<いつでも学会発表できるような検査レポートを書き、疾患だけでなく患者本人を診る診療スタイル>。その根底には若くして亡くした母への思いがあるのだった。「今後も専門病院と連携して弁膜症治療を中心とする内科疾患全般に対応して、地域医療に貢献していきたいと考えています」と話す。

※記事内におけるコメントは、ご本人の意見、感想が含まれます
しば内科・循環器内科クリニック
〒332-0023 埼玉県川口市飯塚1-3-6
プラウドタワー川口 1階
TEL:048-242-3227
映像情報メディカル 2021年6月号掲載
一般的名称 販売名 認証番号
汎用超音波画像診断装置 超音波診断装置 Aplio a CUS-AA000 301ABBZX00001000
据置型アナログ式汎用X線診断装置 一般X線撮影装置 MRAD-A25SC R-mini 224ADBZX00122000
X線平面検出器出力読取式デジタルラジオグラフ デジタルラジオグラフィ CXDI-710C Wireless 229ABBZX00020000 ※製造販売元キヤノン株式会社
2022年7月1日を持ちまして、TOSMEC Aventyは、エムスリーソリューションズ株式会社に譲渡されました。