“AI”による新しいSNR向上技術
Advanced Intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)導入事例

Vantage Galan 3T / Focus EditionにおけるAiCEの使用経験量(検査件数)と質(画像)の確保を目指して




医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 理事長
髙橋 明 先生
札幌美しが丘脳神経外科病院は、2020年7月1日北海道札幌市清田区に新しく誕生した脳神経外科の専門病院です。病床数はICU、SCUを含め58床で、全て一般病床です。診療対象は脳卒中を中心とする脳神経外科疾患全般で、とくに脳卒中救急、開頭手術、脳血管内治療、脊椎脊髄手術、急性期リハビリテーションに力を入れています。
救急診療や手術治療を支える手段の一つとして、とくに重要な画像診断では、速さ、見やすさ、正確性が求められます。当院では、脳卒中救急や手術治療を支えるモダリティーとして、MRIはVantage Galan 3T / Focus Edition、CTはAquilion Prime SP / i Edition、そしてDSAはAlphenix Biplan / Hi-Def Detectorを導入しました。
今回は、AIを用いたSignal to Noise Ratio(SNR)向上技術Advanced Intelligent Clear-IQ Engine(以下、AiCE)を搭載したVantage Galan 3T / Focus Editionについて、撮影した画像を提示しながら、量(検査件数)と質(画像)に注目して報告します。

急性期脳卒中におけるAiCEの利点

急性期脳卒中において、とくに脳梗塞の治療はt-PAの承認、血栓回収術の登場で、より早く、より正確な診断と治療が求められるようになりました。画像の撮影、診断も迅速な対応が必要で、急性期脳梗塞の診断上、MRIは重要なモダリティーです。当院では、DWI、T2WI、T2*WI、FLAIR、MRAを撮影しており、検査時間は10分以下です。
図1は右内頸動脈閉塞による脳梗塞の症例です。急性期は体動の多い患者さんも多く、短時間で撮像しアーティファクトを少しでも減少させることは診断治療に重要です。各医療機関で種々の工夫をして急性期脳卒中の診断治療を行っていると思いますが、AiCEの導入は速さと画像の質を向上させる優先度の高い手法と考えられました。
図1 急性期脳卒中検査(右内頸動脈閉塞)

手術支援画像におけるAiCEの利点

脳神経外科医にとって、手術支援画像は非常に重要です。
手術支援画像は診断画像より薄いスライスで撮ることが多いため、ノイズの影響が大きい画像になりがちです。画質の向上にはAiCEが有用で、病変のコントラストが改善されることで、従来と比較して読影にかかる時間が短縮しました。
図2は左半側顔面痙攣の患者さんのCisternography画像です。顔面痙攣は正常血管と顔面神経のRoot entry zoneが接することによって起こる疾患で、器質的疾患はないことが多く、より正確な手術前画像診断が必要となります。AiCEを利用した高分解能画像により、正常血管と顔面神経を明瞭に描出することができています。
図2 Cisternography画像(左半側顔面痙攣症)

脊椎脊髄疾患

脊椎脊髄は、比較的狭い範囲に脊髄、神経根、骨、靭帯、椎間板、筋肉など種々の構造物があり複雑です。構造が複雑であればあるほど、撮像時のアーティファクトが問題になります。今回AiCEを使用して感じたことは、脊椎脊髄の撮影にも有用であることです。分解能を上げた条件でも比較的短時間で撮像可能で、アーティファクトの少ない診やすい画像が得られています(図3)。高速撮像技術であるCS(Compressed SPEEDER)との相性も良いと感じています。神経症状と画像診断を組み合わせることにより、正確な診断が的確な治療につながっています。
図3 腰椎検査(L5/S1分離すべり症)

まとめ

技術の進歩により画像診断は重要性を増しています。重要性が増せば医療者からの要求も高くなります。MRIはより良い画像(質)を作ろうと思うと撮像時間が長くなり、撮像件数(量)に制限が出てしまいます。MRIにおいて量と質は反比例の関係にあるため、臨床寄りの落とし所を作らなければいけません。
当院ではVantage Galan 3T / Focus Editionを導入し、AiCEを利用することで短時間のスキャンでも高画質の画像が得られることがわかりました。その結果、スキャン時間の短縮のみならず、診断までの時間も短縮され、検査室だけではなく外来診察のスループットも改善した印象です。AiCEの登場で、量と質の落とし所はより臨床的になったと考えています。我々のような一般病院にMRIの量と質の確保は重要で、医療の質と経営に反映すると考えています。

*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。
*記事内の製品に関する薬機情報は以下の通りです。

一般的名称超電導磁石式全身用MR装置
販売名MR装置Vantage Galan 3T MRT-3020
認証番号228ADBZX00066000
一般的名称全身用X線CT診断装置
販売名CTスキャナAquilion Prime SP TSX-303B
認証番号229ACBZX00012000
一般的名称据置型デジタル式循環器用X線透視診断装置
販売名X線循環器診断システムAlphenix INFX-8000V
認証番号218ACBZX00001000