“AI”による新しいSNR向上技術
Advanced Intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)導入事例

AiCEにより、3Tに匹敵する診断を実現




社会医療法人天神会 新古賀病院 診療放射線課 副主任
中村 宗史 先生
新古賀病院は、福岡県久留米市に位置し、筑後広域医療圏における先進医療や救急医療を担う地域の中核病院。「24時間断らない」救急体制のもと、充実した医療機器を積極的に導入し、迅速な検査・診療体制を整えています。

MRI画像診断においては、1.5TからのリプレイスでVantage Orian(以下Orian)を導入し、世界初のAIを用いたノイズ除去再構成技術Advanced Intelligent Clear-IQ Engine(以下AiCE)を臨床で活用しています。その実際をお伺いしました。
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3T MRI装置に匹敵する画質を実現

今回導入したOrianの目玉機能であるAiCEは、ディープラーニングを用いた再構成技術によってノイズを除去します。ノイズ除去によりsignal to noise ratio(以下SNR)が向上するため、3T装置に合わせた撮像条件であっても、SNRの不足を全く感じさせません。今回のOrianおよびAiCE導入は、3T MRIでしかできなかった検査を1.5T MRIで実現できることによる臨床性能の向上と運用面での利点の2つが大きなポイントでしたが、期待通りの性能を有していると感じました。

図1は3Tの撮像条件に合わせた画像です。撮像時間の延長もなく、SNRの高い画像が得られています。

AiCEにより、スムーズな運用が可能

当院では1.5T Vantage Orianのほか、海外製3Tと1.5Tの計3台のMRI装置を使用しています。3T装置と併用するため、同等の検査が両装置で行えることは、運用上大きなメリットとなります。従来では1.5Tか3Tで迷っていた検査でも、どちらの装置でも変わらずに撮像できるため、検査の割り振りで1.5Tか3Tかを悩む必要はなくなりました。頭部トラクトグラフィなど一部3T指定のオーダーもありますが、スムーズな運用が行え、業務時間の短縮にもつながり、非常に有意義であったと感じています。

また、1.5Tでは3Tと比較してアーチファクトやSpecific Absorption Rate(SAR)制限に悩まされることが少ないため、1.5Tで3T並みの条件で撮像できるOrianは、非常に扱いやすい装置と言えます。図2は脳幹部における撮像ですが、頭部領域においても3Tに引けを取らない、十分な画質を得ることができています。

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簡単に使えて、パラメーター設定もシンプル

ディープラーニングというと難しそうなイメージがありますが、実際の撮像ではフィルター処理と同様の感覚でAiCEのON、OFFができ、シーケンスへの組み込みもできますので、日常の検査では特に意識することなくAiCEを適用しています。

また、ノイズ除去の強度を撮像後に任意に変えることもできますので、読影する先生の好みに合わせて画質の調節が可能です。患者さんの状態の違いによるSNRのバラつきに対しても、撮像後にノイズ除去の強度を調節することで、安定した画質を得られます。

様々な検査で使える技術

当院では、全身様々な部位での撮像が行われていますが、ほぼすべての検査でAiCEを適用することができます。コイル制限や撮像断面の制限などもありません。また、圧縮センシングや、Fast3D(3D高速撮像技術)などの高速撮像技術との併用にも制限がありませんので、非常に使いやすく汎用性が高い技術と言えます。

SNRの向上は、短時間化や高分解能化のどちらにもメリットがありますので、短時間での広範囲撮像や、骨盤部での高分解能検査など、部位により様々に使用しています。

今後のAiCEへの期待

OrianとAiCEには、1.5Tがより得意としている分野での活用を期待しています。当院ではまだ導入後すべての部位では試せていませんが、特にMR coronary angiography(MRCA)、Cine MRIなど循環器領域でAiCEの適用が可能ということですので、3Tでは難しかった新しい臨床価値を生み出せるのではないかと期待しています。

また、今後需要が増えると予想される非造影MRA、全身DWIを含む短時間での全身撮像などへの応用も行っていきたいと考えています。

*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。
*記事内の製品に関する薬機情報は以下の通りです。

一般的名称超電導磁石式全身用MR装置
販売名MR装置Vantage Orian MRT-1550
認証番号230ADBZX00021000