AiCEのメリットとしては、前述のようにノイズ成分のみを学習しているため、①MRIで重要な「画像コントラスト」に影響を与えない、②部位や受信コイルを選ばず、ほぼ全ての撮像方法に適用可能、という点が挙げられる。また、パラレルイメージングや、圧縮センシングを応用した時間短縮技術である「Compressed SPEEDER」をはじめとする各種時間短縮技術との併用も可能である。
時間短縮技術は通常、高速化倍率が高いほど画質の劣化(ボケやノイズ)が目立つ。ここにAiCEを併用すれば、高速化や高分解能化によって生ずるSNRの低下を補うことが可能である。したがって、「全身で安定した高画質を短時間で得られること」という選定条件に、この上なくマッチした技術である(図4)。当院でFocus XGが稼働してまだ間もないが、実際に画像を見た医師からは、「今まで見たくても見えなかった細かな組織構造が、コントラストよく観察できる」といった声が挙がっている(図5)。
また、MRIの歴史を振り返ると、SNRを根本的に向上させる手法としては、磁場強度の向上やコイルの多チャンネル化といったハードウェアでの技術革新が必要であり、莫大なコストを要していた。AiCEはそのようなハードウェアの大幅な刷新を必要としないため、経営的にも非常に魅力的な技術であるといえる。
図4 AiCEによる時間短縮の例(全身拡散強調画像へ適用した例)
SNRの低下をAiCEで補えるため、高速化倍率を高く設定し時間短縮率の向上が可能。
図5 AiCEにより高精細画像を検査枠の負担なく取得可能。
全身においてルーチン検査の質を根本から向上可能な技術である。
木村健二郎(きむら・けんじろう)
74年東京大学医学部医学科卒。81年デンマーク、コペンハーゲン大学医学部病理学研究所留学、97年東京大学大学院医学系研究科・腎臓内科学講師、01年聖マリアンナ医科大学腎臓高血圧内科学教授、11年同大学附属病院副院長(兼任)、14年独立行政法人 地域医療機能推進機構 東京高輪病院院長、18年同機構 東日本地区担当理事。
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※「Vantage Galan」、「Pianissimo」、「AiCEマーク」はキヤノンメディカルシステムズ株式会社の商標です。
※AiCEは画像再構成処理の設計段階でAI技術を用いており、本システム自体に自己学習機能は有していません。
一般的名称 | 超電導磁石式全身用MR装置 |
販売名 | MR装置Vantage Galan 3T MRT-3020 |
認証番号 | 228ADBZX00066000 |
「Vantage Galan」、「Pianissimo」、「AiCEマーク」は、キヤノンメディカルシステムズ株式会社の商標です。
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