小児科ならではのニーズに対応し、
かつ画像システム、レセコンも搭載。
その機能と対コスト性能を高く評価

むかいだ小児科様
向田 隆通 先生

20年以上にわたって愛媛県松山市郊外で小児医療に携わるむかいだ小児科は、2004年に既に電子カルテを導入し、医療ITを積極的に活用する診療を続けてきた。同院では、2013年6月、画像ファイリングシステム搭載の医事会計/電子カルテ一体型システムに更新。高い操作性と多機能をもつ最新型システムを活用して、より高度で効率的な診療を展開している。「各施設の求める機能が充実しているシステムを採用すべき」と話す向田隆通院長に、新システムの有用性について聞いた。

紙カルテの限界からIT化
兄弟姉妹の情報を如何に入手

──電子カルテを更新されましたが、新電子カルテ導入までの経緯をお聞かせください。

開業当初は医師も私1名のみだったことから、診療も紙カルテを運用していました。その後、最初の電子カルテが稼働したのは、2004年10月です。その頃には通常の外来業務だけでなく、乳幼児健診事業や病児保育事業などにも取り組み、クリニックの運営規模も大きくなっていました。スタッフも私以外に非常勤医が複数勤務するようになるなど人員が増え、紙カルテでは満足のいく診療業務ができなくなってきていたのです。

当時、当院においては、紙カルテに対して、医師らが書き込む紙カルテの文字が読みづらいことや、患者さんの過去のエピソードを調べるのに時間がかかるなどの点が問題になっていました。また、学会発表等のための症例データ収集・資料作成も紙カルテでは効率が悪く、これらの問題点を解決したいという思いから、電子カルテの導入を決めました。

最初に導入した電子カルテは使い勝手も良く、順調に稼働していたのですが、その電子カルテを提供するメーカーが電子カルテ事業からの撤退を決めたため、システムのサポートが受けられなくなってしまう事態に直面し、必然的に、新システム導入を検討することになったのです。

図:むかいだ小児科システム構成図
サーバーを含め、院内には13台の端末を設置。電子カルテシステムは各種モダリティおよび予約システムと連携し、効率的な診療業務を実現している

──新システム導入に関して、最も重要視したポイントはどのようなものでしょうか。

小児科の診療では、患者さんの兄弟姉妹が前後して受診するケースが多く、家族の記録、特に兄弟姉妹のカルテを診察中すぐに参照できるかどうかが非常に重要です。

更新に際しては、複数のシステムを検討していましたが、レントゲン装置を更新した際に、偶然訪れた東芝メディカルシステムズの展示会で同社の電子カルテ「TOSMEC TRINITY」に触れる機会を得たのです。東芝製のシステムでは、兄弟姉妹のカルテ画面を1クリックで開くことができ、一目で気に入りましたね。

旧電子カルテでも兄弟姉妹のカルテ画面は開けましたが、1画面に複数のカルテ画面を展開することができなかったのに対して、東芝の電子カルテはそれも可能だった点も大いに評価し、当時まだ開発中だった最新式の電子カルテ「TOSMEC Aventy」の導入を決めたのです。

ショートカット機能や処方チェック機能が至極便利

──新しく導入された「TOSMEC Aventy」は医事会計/電子カルテ一体型システムですが、その運用状況と、評価についてお聞かせください。

「TOSMEC Aventy」が稼働を始めたのは2013年6月からです。端末は、2つある診察室に各1台、看護師用に4台、受付に4台、サーバー管理用に1台の計13台を設置しています。

機能面での評価ですが、操作性も良く、使いやすいシステムですね。先ほど述べた兄弟姉妹のカルテを容易に開ける点以外にも、ワイドモニタを採用したことで画面構成が見易く、患者さんへの処方や処置等がすぐに一覧できますし、色遣いやデザイン性も目に優しくて良いですね。また、あまり処方しない薬の用法・容量等がカルテ画面上ですぐ調べられる点も有り難いです。
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中でも、最も高く評価しているのはショートカット機能です。これは、頻繁に使用する項目のセットや、指導文書などを登録することで、簡単にカルテ入力が行えるというものです。定型的な作業やオーダを簡単に登録できますし、ショートカットの内容もポップアップ表示を採用しており、確認や編集も簡単に行えます。それゆえ、診察中でもセット項目を変更・登録することもできるため、非常に便利です。

当院には非常勤医師が複数いますが、臨時の医師が診療を担当することになっても、この機能によってカルテ入力に煩わされることなく電子カルテを操作することが可能です。最近の若い医師は、PCに慣れているので、それほど詳しく操作法を教えなくても電子カルテに十分対応できていますよ。

写真:むかいだ小児科では、診察室に医師用と患者用の2つのモニタを用意。診療内容が患者さん及び付添いの家族にも見られるように配慮している

──同システムは、画像ファイリングシステム機能も搭載していますが、この点についてはいかがでしょうか。

愛媛県では、何らかの先天性心疾患を持つ小児の患者が年間120~130名出てきています。私は小児循環器領域が専門ですので、このサブスペシャリティを活かして超音波画像診断を積極的に実施してきました。

従来は、超音波画像は、まず紙に出力し、それらをスキャンしてから電子カルテに画像を張り付けるなど、運用に苦労していました。しかし、画像ファイリング機能によって超音波画像とカルテデータを一元管理することができるようになったのは本当に助かっています。また、一般のレントゲン撮影画像のデータも効率よく管理できるようになったのも嬉しいですね。

──レセコンについては、従来の分離型から一体型となりましたが、この点についてはいかがでしょうか。

以前使っていた分離型の電子カルテでは、カルテ内容を事務方が確認しながら入力・算定を行うため、請求漏れが発生するなどのトラブルもありました。しかし、一体型では1クリックで医師のオーダを取り込むことができ、算定等もシステムが自動で行ってくれるので、請求漏れが大幅に減り、事務スタッフも業務が楽になったと好評です。

コストについても、レセコンと比べてやや高価であるといった程度です。それなのに、電子カルテと画像ファイリングシステム、レセコンの3機能を有しているのですから、コストパフォーマンスは極めて高いと評して良いでしょう。
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写真:受付には電子カルテ端末を3台設置。レセコン一体型のシステムにより、請求漏れが減り、作業も効率化されたとスタッフからの評価も高い

iPad連携やネット活用等、今後のシステム発展に期待

──システム更新作業時に苦労した点はどのようなことでしょうか。

システム更新作業は、2013年5月末から6月初めにかけて行いました。診療を長期間止める訳にはいきませんので、システム更新作業を4日間で完了させなければならなかったのが、苦労した点と言えるでしょう。その間のベンダの対応は真摯で、非常に満足できるものでした。

しかし、システムそのものは出来が良いのですが、旧システムから新システムへのデータ移行が思うようにいかず、苦労しています。これは東芝メディカルシステムズだけの問題ではなく、どのベンダ間のシステムでも、データの移行は大きな問題となっていると思います。また、データ移行だけでなく、レセプトの解釈についても業者によって異なりますし、このような点については、ベンダ同士、業界標準のようなものを作って対応してもらいたいものです。

小児科では、患者さんの既往歴や予防接種の履歴、カルテには直接記載しないような患者さんのエピソードのメモなど、過去の患者情報をよく参照しますので、過去のデータは重要です。そこで当院では、過去のカルテデータをPDF化して、新カルテシステムと紐付して既往歴等を参照できるようなシステムを構築中です。現在は、旧電子カルテも併用して診療を行っています。

──電子カルテの今後の拡張について、どのようにお考えでしょうか。

予算の関係もあり、まだ実施していませんが、心電図の画像ファイリングシステムへの取り込みを検討中です。また、皮膚科で用いているデジカメ画像のデータ転送や、デジタルサイネージとの連携、iPadの活用などを行いたいですね。さらに、電子カルテと同じ端末上で、インターネットに接続できるようになると、非常に便利になるでしょう。新しい技術については、電子カルテベンダも切磋琢磨して、更なる新技術開発を進めてほしいですね。

むかいだ小児科

開業以来20年以上、地域の小児医療に貢献し続ける

【正式名称】むかいだ小児科
【所在地】愛媛県伊予郡松前町恵久美792-1
【診療科目】小児科、一般診療、検診予防接種、皮膚科、ゆっくり相談、病児保育
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1991年、向田隆通院長が、自分の目指す「患者さんにどっぷり接し、病気のことを含めてその子の全てを見てあげる」医療を行うために開業した「むかいだ小児科」。松山市のベッドタウンの松前町は開業当時、小児専門医が不在の一方、国道56号線・伊予鉄道岡田駅に近く、将来の発展に期待が持てたことから現在の地にオープンした。98年には診療スペースを増築し、診療棟で外来業務、2階建ての新棟では1階で乳幼児健診・予防接種を、2階では病児保育事業を展開している。広い駐車スペースには、同院のシンボルであるSLが展示されている。また、日曜診療を実施している他、愛媛大学をはじめ、県立中央病院や松山赤十字病院、松山市民病院等との連携を密にしていることも特長だ。外来患者は1日平均約110名だが、冬などの繁忙期には300名に達することもあるという。乳幼児健診は月間約50名、病児保育も年間600名を数える。

スタッフは向田院長に加え、小児科の非常勤医2名、皮膚科の非常勤医1名。看護師7名、医事スタッフ7名、保育士4名、健診の際に勤務する管理栄養士と歯科衛生士が各1名おり、総勢20名以上のスタッフがいる。

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取材・制作 月刊新医療

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